公立高校の修学旅行先として人気の沖縄だが、地元ガイドが「日本軍は中国各地で中国人を殺し、レイプした」と偏った説明をするなど、「反日・自虐教育のメインイベント」と化す一面があると公立高校の現役校長・森虎雄氏はいう。ならば修学旅行先を変更すれば解決するのかというと、そうもいかない。次世代を担う高校生たちのために、教員はどう振る舞うべきかを森氏が解説する。
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反日修学旅行に現場の教員から異論が出ることはまずありません。彼らも生徒と同じく、「沖縄の人が言っているから」「日本軍はひどいことをしたと新聞に書いてある」として、虚構を真実と思い込んでいるのです。
私は現場でこうした教員と戦っています。例えば、「沖縄戦での集団自決に軍の関与があった」という趣旨の朝日新聞記事を授業で用いた教員に私が異議を申し立てると、彼女は「朝日がウソを書くんですか!」と職員室で声を張り上げました。
とくに定年間近の50代教師はイデオロギー色が強く、まるで中国・北朝鮮の代理人のように日本を貶めようとする人もいます。彼らの影響を受けるのは生徒だけではありません。若くて熱心な先生まで「日本は悪だ」と感化されてしまうのです。
私の赴任校は昨年も沖縄に修学旅行をしました。予め旅行の担当教員と旅行業者に注意を促したため、前回のような反日教育はなく、一安心した次第です。今後は日本を取り巻く国際情勢や基地問題の賛否両論を生徒に教え、各自に判断させる公平さが肝要です。
かつて人気があった修学旅行先の広島や韓国などでも似たような構図がありました。この先、危惧されるのは福島など被災地への修学旅行です。平和教育とリンクさせた「脱原発」を喧伝し、生徒たちの頭にすり込むことが容易に予想されます。
実は私も若い頃は偏向した左翼教師でした。「戦前の日本は悪」と断じて日本史を教えていましたが、やがて自虐史観に疑問を抱き、再び歴史を学ぶうちに呪縛から解き放たれました。左翼教師との戦いは私の「罪滅ぼし」でもあるのです。
教員や保護者は一部の修学旅行が「反日教育」に利用されている事実を知り、次代を担う高校生たちが誤った歴史観に染まらぬよう目を光らせるべきです。
●もり・とらお/1956年、東京都生まれ。上智大学文学部卒業。明星大学大学院人文学部研究科教育学専攻修士課程修了。公立高校の教員、教頭・校長を歴任し現職。森虎雄のペンネームで出版した著書『反日日本人は修学旅行でつくられる』が話題に。
※SAPIO2016年8月号