治療で痛い思いをしたことによる歯科医への苦手意識や、日常の忙しさを理由に、つい後回しにしがちな歯の問題だが、長く健康に暮らすためには、まず歯が健康でなくてはならない。
みんなの歯科ネットワーク・副理事長で歯科医の大塚勇二さんは歯と健康についてこう話す。
「歯の本数が多いほど寿命が長くなると言い切っても間違いではありません。寝たきりの人が歯を治療したら自分の足で歩けるようになったという例や、噛み合わせをよくしたらうつ病が改善した例など、いろんな症状に効果があることがわかっています」
横須賀デンタルオフィス院長の横須賀正人さんも、歯は健康に不可欠だと言う。
「硬いものを噛めなくなれば、食べられる食材が少なくなり、栄養バランスも崩れてしまう。逆に、歯があればよく噛めるため、脳が活性化し認知症予防になります」
さらに、高齢者の医療費と歯の本数にはこんな関係があると横須賀さんが指摘する。
「高齢者で20本以上歯がある人と比べて、10~19本の人は1か月の医療費が3000円高く、歯が全くない人は1万5000円も高いという調査結果があります。それほど歯は健康とつながっている」
つまり、長く健康に生きるためには、できる限り歯は抜かずに残すことが大事なのだ。
「10年前と比べて、歯を残す治療の選択ができるようになっています。たとえ歯が割れても、歯根の状態がよければ、そのうえにかぶせ物をして治療もできる。痛くなってから削るより、日頃からケアをして、歯を残すことにお金をかけるべきです」(岩田有弘歯科医院院長の岩田有弘さん)
※女性セブン2016年8月11日号