歯を失った人でも自分の歯と同じように噛めると、近年、治療者が増加しているのがインプラントだ。失った歯の代わりに、顎の骨の中にチタンでできたネジを手術で埋め込み、そこに人工の歯を取りつける。
人気がある一方で、2007年にはインプラント手術中に動脈を傷つけて死亡者が出たこともある。いまだに不安に思う人も多いが、みんなの歯科ネットワーク・副理事長で歯科医の大塚勇二さんは「事故の確率は低い」と話す。
「死亡例はその1件だけです。インプラントは利用者が増えていること、治療費が高いことで注目されやすいですが、両隣の歯を削って義歯をつなげるブリッジのように健康な歯を削る必要もないし、入れ歯と違って自分の歯のように噛める。治療した歯の見た目もいいし、人生の幅をすごく広げる治療なんですよ」
ただし、万人に治療が適しているかというと、そうではない。歌手の和田アキ子(66才)は今年1月に、「半年ぐらい前から治療していたインプラントの手術が上手くいってなくて、痛みが取れないので、あろうことか入れたものを取り出す再手術です。怖いよー」とツイッターでつぶやいた。このように、インプラントを埋め込んだ治療のあと、再手術をしなければならなくなる人も少なくない。
大塚さんによれば、インプラント手術に向いている人とそうでない人がいるという。
「向いてないのは喫煙者です。たばこにはニコチンなどインプラントの結合を妨げる要因が多い。また、顎の骨が細い人、歯周病で歯を何本も失った人も、トラブルが発生する可能性が高いので、不向きです。手術前に必ずレントゲンやCTを撮って検査するので、医師に相談してから受けるようにしてください」(大塚さん)
※女性セブン2016年8月11日号