2007年、43年ぶりに再開された文科省による「全国学力テスト」で、秋田県は8年連続1位。東成瀬村はその秋田県の中でもトップクラスの学力を誇ることから、国内外から注目を集めている。学習塾が1つもない東成瀬村が、なぜ日本一の学力を誇るのか?
学校の廊下や教室前には本が並べられている。村では図書館司書を1人雇い、学校で毎月その季節に合わせたテーマに沿って、児童が手に取りやすいように展示を変えている。
「子供1人に対して6000円の図書費の計算で予算が組まれているので、蔵書は多いです」(東成瀬村教育委員会の鶴飼孝教育長)
(公)全国学校図書館協議会の「2015年度学校図書館調査」によれば、児童1人当たりの図書購入費は全国平均1394.7円といわれているので、同校の本にかける思いの強さがうかがえる。
朝の10分間を読書の時間にあてているほか、月に1回、15分ほどの読み聞かせも行っているというが、これほど読書の時間を大事にしているのはなぜなのか?
「まず語彙が増えます。子供たちが生きていくうえで、自分の言葉で自分の気持ちや考えを相手に伝えていかなければなりません。そして、読解力もつきます。
教育とは、テストの平均点をあげることだけが大事なのではありません。しっかりとした人間性を育てることが重要です。子供たちはさまざまな可能性を持っています。その可能性を引き出すためにも土台づくりはしっかりとしないといけません。その土台づくりに、考える力や生きる力などの総合的な力が必要なんです。
主体的に積極的に人生に向かい、夢に取り組むためには、単に知識を増やすだけではなく、課題に向かっていく知的好奇心や向上心も必要になっていきます。そして他人の話を聞くのも大切です。そのためにも読書は必要だと思っています」(鶴飼さん)
※女性セブン2016年8月11日号