エアコンの下、涼しい風に心地よく過ごす心の中で、いつもチクリと胸を刺す電気代の憂うつ。節約のために電源を切ろうとリモコンに手を伸ばしたあなた、ちょっと待って! そのピッ、ピッ、間違っているかもしれない。
エアコンは使用開始時に、温度が安定している時のおよそ3倍以上の電力を消費する。以前は安定時でも起動時の半分くらいの電力を消費していたため、こまめに消すのが当たり前だった。この“習慣”はかえって無駄遣いになると、家電コーディネーターの戸井田園子さん。
「10年以内の機種であれば、安定時の消費電力は使用開始時の4分の1から3分の1で、300~400W。最新機種なら100W以下まで下がるものもあります。1時間ぐらいの外出ならつけっぱなしが絶対に得です」
逆に、2時間以上家を空けるならば、スイッチオフ。その場合、厚いカーテンで窓を覆うとよい。
「冷気は窓を開けていなくてもガラスを通して逃げ、日光は容赦なく入ってきます。遮光カーテンなどできちんと遮断すれば、電気代が約5%、27℃設定だとひと夏で約750円カットされるというデータもあります」(節約アドバイザーの丸山晴美さん)
ホコリがつまっていると、エアコンの性能が落ち、年間の電気代が700円、ひと夏で約220円ほど高くなる。
「さらに長く放置すると自分では対処しきれず清掃業者を呼ぶことになったり、部品を外して水洗いするなど大掃除になってしまう。異臭の原因にもなり、長持ちもしません。2週間に1度は掃除機でササッと吸って」(丸山さん)
外気温35℃で室温が27℃の場合、室外機の設置場所が直射日光の当たるところか日陰かによって、電気代は5%、1日9時間稼働させるとしてひと夏で約750円違ってくる。
「室外機は室内の熱を外に排出する際に、多くの電力を使用します。夏場、室外機が直射日光や地面からの照り返しにさらされていると、熱を追い出す力が低下し、電力を余分に消費してしまいます。
室外機は日陰に置くか、すだれやよしずなどで、直射日光を遮り、通風も確保。また、地面が温まると運転効率が下がるので、夕方に打ち水を。エアコンの効きがグンとよくなります」(丸山さん)
エアコンの温度や風量に悩んだら、「自動」を選択。機種によっては熱量のかかるドライモードもあるため、断然、「自動」に!
「自動モードにすると、余計な電気を使わないで済みます。エアコンの状態がスタンバイになるまで、こちらがやみくもに風量を上げたり温度を下げたりするよりも、機械が自分で判断して冷やす『自動』に任せたほうがいい。ある程度、部屋が冷えてきたら、温度や風量をこちらで調整させればいいということ」(戸井田さん)
電気代の節約になるかと思って「弱風」に設定することによって、部屋が冷えるのに時間がかかってしまい、「自動」にした時よりもかえって高くついてしまうというデータもある。
手動運転は、自分で設定を変えない限りずっと同じ電気使用量で運転を続けるため、機械自らが温度や環境を察知して省エネしてくれる自動運転に比べてムダが多く、コストがかかってしまうのだ。
※女性セブン2016年8月11日号