警視庁の発表によると、13才未満の年少者に対する性犯罪の約7割が、登下校時に発生している。加害者の更生支援団体を取材し、数々の性犯罪裁判を傍聴、著書を執筆してきたライターの渋井哲也さんは、こう説明する。
「性犯罪者は、妻子がいるような普通の社会人が多い。彼らは朝、会社に行く前か、帰宅時に“獲物”を物色しています。それが登下校時に重なるんです。また、登下校時なら、必ずひとりになる瞬間がある。ですから、家に入るまで警戒させないと、防ぐのはとても難しい」(渋井さん。「」内、以下同)
今は夏休み中といえど、部活や塾通いの行き帰りは登下校時と同様に危険がいっぱい。油断してはいけない。また、性犯罪者の多くは、犯行を犯す時のパターンがあると渋井さんは言う。日頃から歪んだ性的空想をしており、例えば、子供がひとりになった瞬間や、好みの女の子が無防備に歩いている瞬間に遭遇するとスイッチが入る。彼らは捕まれば反省するが、性癖を自力で直すことはほぼ不可能で再犯率も高い。
「埼玉県朝霞市で連れ去られ、今年3月に保護された『女子中学生監禁事件』のように、名前まで調べて計画的に犯行を進めるケースは珍しい。過去に性犯罪者に調査したところ、半径500m以内の“獲物”を物色し、6m以内に近づいた段階で、犯罪におよぶかどうか決めるようです」
犯人自身も寸前まで自分の行動がわからないほど、考え方が歪んでいる。
「“獲物”は基本、好みで選んでいるので、全ての子供や女性が、常に狙われています。ですから、警戒していることを相手にわからせる演出が大切。例えば、防犯ブザー。身につけているだけで“防犯に関心がある”と思わせ、効果的です」
いざという時に電池切れで音が鳴らないことがないよう、点検も忘れずに。
「完璧に子供を守ろうとするほど、難しさを実感することと思います。ですから、防ぐことと同時に、被害に遭ったあとの対処法も考えた方がいい」
親が無理なら信頼できる大人や無料の電話相談窓口(※警察庁 性犯罪被害相談窓口一覧 http://www.npa.go.jp/consultation/sousa1/index.htm )でもいい。ひとりで抱え込ませないことが大切だ。
※女性セブン2016年8月11日号