7月28日の夕刻、那須御用邸(栃木県)での静養を終え、天皇皇后両陛下が東京駅に降り立たれた。
「両陛下のお姿を見ようと集まった皇室ファンや、一般の利用客で改札やコンコースは混み合っていました。ところが、両陛下がいらっしゃると、一瞬、時が止まったかのような静寂に包まれたんです。これまで国民のために身を粉にして公務に邁進されてきた両陛下への感謝や尊敬の念、皇室の行く末の不透明さへの不安といったさまざまな感情が交錯したものだったように思います。両陛下はいつも通りの柔和な表情を浮かべられていましたが、どこか強いご覚悟のようなものが感じられました」(宮内庁関係者)
帰京から一夜明けた29日、陛下が率直なお気持ちを公表される場が、8月8日にも設けられることが検討されていると報じられた。
本稿締切時点では、どのようなお言葉になるのか定かではないが、「国民が生前退位についての理解を深める一助になり、議論を活発化させるきっかけになる内容」(皇室ジャーナリスト)だと考えられている。驚くべきなのは、そのお言葉を伝えられる方法だ。
「皇居の宮殿内にある『石橋の間』でお気持ちを明かされる予定です。そこにテレビカメラを入れて、生中継することも検討されています。陛下が直接お言葉を述べられる機会はもともと限られているうえ、昭和天皇が終戦を告げられた玉音放送や、陛下が東日本大震災の被災者に向けて送られたメッセージは録音されたもの。生中継となると前代未聞のことです。
しかも、お言葉は約10分にわたるといいます。震災のメッセージが5分強でしたから、それもまた異例中の異例。陛下の強いご意向がなければありえないことです」(皇室記者)
陛下はまた、一刻も早い機会を望まれていることから、8日が検討されているという。
この8月は、内閣改造に伴う新大臣の認証式、広島・長崎への原爆投下の日、終戦記念日と重要な日々が続く。10、11日には、皇太子さまが雅子さま、愛子さまを伴われて第1回「山の日」記念全国大会(長野県)への出席も予定されている。そうした重なりを避けた最短の日程が8月8日だった。
「宮内庁側は、公表の場は12月23日の誕生日の記者会見が適当だろうと考えていました。いまだかつて陛下が個人的なお気持ちを公表するために、特別な会見の機会を設けたことなどなかったからです。その前例を覆せるのは、これもやはり陛下のご意志以外にはありえません。
さらにいえば、生前退位が実現したときに、新天皇となられる皇太子さま、大きく立場が変わられる秋篠宮さまらご一家も理解され、一丸となられているからこそ、官邸も宮内庁も異例の方法を検討せざるを得ないということなのです」(前出・皇室ジャーナリスト)
撮影■雑誌協会代表取材
※女性セブン2016年8月18・25日号