舛添要一前都知事の「政治とカネ」をめぐる問題から始まった都政の混乱は、小池百合子新都知事の誕生で一応の決着は付いた。しかし――最新エッセイ集『九十歳。何がめでたい』がベストセラーとなっている作家・佐藤愛子さんは言いたいことがあるという。その理由とは? 「言いたいことが言えないくらいなら、死んだ方がマシ」という佐藤さんのスペシャルインタビューをお届けします! (取材・文/佐久間文子)
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佐藤さんが出会ってきた“怪しい人たち”はどこか人間的で、今どきのオレオレ詐欺とはひと味違うようだ。
「いや、オレオレ詐欺だって面白いですよ。あれは一応、お稽古するんじゃないですか? 弁護士とかいくつか役割があって、いろんな声を出したり、リハーサルしたりするんじゃない? 何事も努力なしに成功はないんで、あれはあれで努力の結晶です。そう考えると面白いですよ」(佐藤さん 以下「」は同)
うっかり佐藤家にオレオレ詐欺の電話をかけたら、えらいことになりそうである。新聞2紙を購読し、テレビのニュースもチェックする佐藤さん。最近、気になるニュースはありましたか。
「舛添さん(要一前東京都知事)の問題の時に、日本中がしゃかりきになって叩いたでしょう? 『いい加減にしろ』って思いましたね。私はインターネットを見ないけど、匿名で言いたいことを言うようになって、日本人は他人をボロクソに言う快感を覚えたんじゃないですか。私が育った時代は、よく事情も知らないであれこれ言うものではないという慎みがありましたよ。舛添騒ぎの時は、日本人はどうなっちゃったんだと思いました。
舛添さんが、無報酬でいいから引き続きやらせてほしいと涙を流して頼んだじゃありませんか。やらせてあげたかったですよ。どんな人でも名誉回復の場を与えるのが武士の情けというものです。そう言うと、うちの娘は『なぜそこで武士が出てくるんだ』って言うんだけど」
今度の都知事選の騒ぎや、税金の無駄遣いを見ると、たしかに続投で良かった気もする。少数意見がかき消されてしまう、「辞めろ辞めろ」の大合唱だった。
「なんだかギスギスした世の中です。うっかりするとどんな目に遭うかわからないから、みんなことなかれ主義になっていますね」
※女性セブン2016年8月25日号