昨シーズンまでの阪神タイガースは3年連続でCSに進出。2014年にはレギュラーシーズン1位の巨人を破って日本シリーズにも出場した。
ところが今年は、8月の声を聞く前に自力優勝の目がなくなった。1993年から2002年にかけて4年連続を含む最下位6度、10シーズン連続Bクラスに落ち込んだ暗黒時代の再来ではないか。
「よくないね。ただ、タイガースは誰が監督をやっても、負ければボロクソにいわれますからね。金本監督は1年目だから、まだこの程度で済んでいる。来年、再来年とどんどんキツくなっていくので、今年は思い切ってやればいいと思いますよ」
元監督の安藤統男氏はのんびりこういうが、ファンはそれほど寛容ではない。阪神得意の“お家騒動”は、水面下で静かに始まりつつある。ある在阪スポーツ紙のデスクが解説する。
「阪神のお家騒動は、マスコミから始まるんです。まずファンの声を代弁するかたちで監督批判が紙面を飾り、一方でその監督をかつて評論家として抱えていたスポーツ紙だけは擁護に回る。次第に擁護しきれなくなると、各紙が勝手にそれぞれお抱えの評論家を次期監督候補に挙げていく。
ノムさん(野村克也・元監督)を当時の久万俊二郎オーナーに売り込んだのはサンスポだし、星野(仙一)を推したのは日刊スポーツ。岡田(彰布)はデイリー、真弓(明信)は日刊スポーツが推したかたちでの就任でした。シーズン中から次期監督選びのストーブリーグが始まるわけです」
今回、金本監督が就任前に契約していたのはデイリーとスポニチ。この2紙は今のところ「金本擁護」の論陣だが、この成績では他紙が「金本バッシング」を始めてもおかしくない。
「“真弓おろし”の時に手厳しく批判したサンスポが今回も先陣を切るんじゃないか、といった観測が出回っている。
キャプテン・鳥谷敬の5年ぶりのスタメン落ちの際に、金本監督が報道陣に向かって声を荒らげたのにしても、マスコミとのバトルが始まる先駆けにしか思えない」(同デスク)
夏の高校野球が開幕すると、阪神は“死のロード”に突入する。7月20日の甲子園では、対巨人3連敗が濃厚となった9回裏の阪神の攻撃中、5点ビハインドにもかかわらず勝った時に歌うはずの「六甲おろし」の異例の大合唱が巻き起こった。ファンはもう、ヤケクソになっている。
※週刊ポスト2016年8月12日号