芸能

九重親方「娘の誕生日までは…」と最期の踏ん張り

最期の踏ん張りを見せたという九重親方

 元横綱・千代の富士の九重親方が7月31日、膵臓がんのため61才で亡くなった。昨年6月に、緊急手術を受けるも、その後、がんは全身に転移。特殊な放射線治療を受けながら、親方としての仕事をこなしていたが、今年7月の名古屋場所4日目(7月13日)の後に体調を崩し、東京に戻り緊急入院した。親しい友人が明かす。

「入院後に連絡をもらいました。もう長くはないかもしれない。でも、弱った姿は見せたくないから、お見舞いはお断りさせてほしいと…」

 それでも、親方は最後の気力を振り絞っていた。

「娘の誕生日までは、踏ん張るよ」

 長女・優さんの誕生日は7月19日、モデルの次女・梢は27日だ。入院中はいつも優さんが親方の隣にいたという。

 九重親方の家族に対する愛情には、特別なものがある。妻の久美子さんとは関脇時代の1981年、後援者の紹介で知り合った。

「九州場所の博多で一目見て、“ピピッ”と感じるものがあったそうです」(ベテラン相撲記者)

 翌年9月に結婚式を挙げた。相撲の取り口同様の“一気の速攻”だった。その翌1983年には長女・優さんが誕生する。

「優さんが3才くらいの頃、千代の富士関が負ける場面を見て“パパが負けちゃった。かわいそう”と泣き止まなかったそうです。ところが、幼稚園に入ってから、横綱が“パパ負けてごめんね”と言うと、“この前勝ってくれたからいいよ”と小さいなりに慰めようとする。それには、“これじゃあ頑張らないわけにはいかないでしょう”と話していました」(ベテラン記者)

 1986年には長男、1987年には梢、1989年2月には三女・愛ちゃんが誕生した。

「千代の富士関は子供が生まれるたびに“この子を抱っこして優勝の記念写真を撮ってやる”と言っていました。“物心つくまでは勝ち続けて、父親が相撲取りだったとわからせてやりたい”とも。家族こそが自分の心の支えだと確信していたんです」(前出・ベテラン記者)

 その直後の1989年春場所。千代の富士は27回目の優勝を飾り、愛ちゃんは生後わずか1か月で優勝の記念写真に収まった。後に千代の富士はこう述懐している。

「女房には“まだ首も据わってないから無理”と言われた。それでも、なぜか無性に一緒に写真を撮りたくなった」

 撮影の時、千代の富士は目を赤くし、「これが念願だった」と喜びを口にした。

 だが、それからわずか3か月後の6月12日、愛ちゃんは乳幼児突然死症候群で、生後4か月というあまりにも短い生涯を終える。この時の千代の富士の憔悴ぶりは激しく、体重は一気に4kg減った。

関連記事

トピックス

ファンから心配の声が相次ぐジャスティン・ビーバー(dpa/時事通信フォト)
《ハイ状態では…?》ジャスティン・ビーバー(31)が投稿した家を燃やすアニメ動画で騒然、激変ビジュアルや相次ぐ“奇行”に心配する声続出
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
朝ドラ『あんぱん』に出演中の竹野内豊
【朝ドラ『あんぱん』でも好演】時代に合わせてアップデートする竹野内豊、癒しと信頼を感じさせ、好感度も信頼度もバツグン
女性セブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
第三者委員会からハラスメント被害が蔓延していたと指摘されたフジテレビ(右・時事通信フォト)
《フジテレビの“あしき習慣”》古くからあった“女子アナ接待”の実態、仕切りは人気ドラマのプロデューサー スポーツ選手との関係構築のため“利用”するケースも
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
【独自】「弟がやったことだと思えない…」中居正広氏“最愛の実兄”が独白30分 中居氏が語っていた「僕はもう一回、2人の兄と両親の家族5人で住んでみたい」
NEWSポストセブン
新田恵利(左)と渡辺美奈代があの頃の思い出を振り返る
新田恵利×渡辺美奈代「おニャン子クラブ40周年」記念対談 新田「文化祭と体育祭を混ぜたような感覚でひたすら楽しかった」、渡辺「ツアーも修学旅行みたいなノリ」
週刊ポスト
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト