ライフ

昆虫食レストラン体験記 タガメの内臓はラ・フランスの香り

タガメで微笑む昆虫食フェア責任者の宮下彗さん

 昆虫食は「美味しくて栄養価が高く、地球環境に優しい」といわれ、理想の未来食とたとえる人もいる。ただし見た目のグロさをのぞげば。そんな昆虫食の料理を集めた「昆虫食フェア」を都内のレストランで開催し、人気を集めているという。いったいどのようなものか、さっそく試食してみた。(取材・文=フリーライター・神田憲行)

 * * *
 レストランは東京・高田馬場にある「米とサーカス」という。もともと鹿肉やワニ肉などを提供するジビエ居酒屋として、食の好奇心豊かな客の胃袋にアピールしてきたお店だ。それがなぜ昆虫食なのか、フェア責任者の宮下慧さんが説明する。

「これまで当店ではダチョウやウーパールーパーなどいろんな食材に手を広げてきたところ、お客さんの間から『虫も食べてみたい』というご要望が寄せられることが多くなってきたんです。それで去年2月に期間限定でやってみたところ、非常に好評でして、その第二弾として今回開催することにしました」

 珍しい昆虫食が食べられるとあって、遠方からわざわざ1人でやってきて「こういうの食べたかったんだよねー」と舌鼓をうつお客さんもいるとか。世の中、広いものである。

「現代の日本では昆虫はそんなに馴染みのない食材ですけれど、世界では20億人が普通に食べているポピュラーな存在なんです。食材もたとえば『アリの水煮缶詰』は、都内のアジアンスーパーで普通に手に入りますよ」

 メニューは昆虫料理研究家の内山昭一氏、虫食いライターのムシモアゼルギリコ氏の協力を仰いで完成した。さっそく食べてみよう。

 まずは初心者にとってもっともハードルが低いと思われる「アリの卵ゼリー」から。赤いゼリーの見た目が美しく、「アリの卵」と聞かなければ普通に美味しい。脳内に「美味しい!でもアリの卵!でも美味しい!」という想いがリフレインする。

「ただ昆虫を食べさせる、というだけではレストランの意味がありません。昆虫で、しかも美味しいというのがポイントなんです」(宮下さん)

 お次はフェアの目玉料理、虫寿司である。使われている食材は、ミツバチ、カマキリの子ども、イナゴ、コオロギ、蜂の子、タガメだ。それぞれが原型を留めたまま、お寿司の上に鎮座している。

「虫寿司で悩んだところは、それぞれの昆虫がみんな茶色で見た目が楽しくないところですね。それで紅ショウガを添えたりしそで巻いたりして、彩りを加えました。ギリギリ和食の伝統にそって昆虫食をアレンジした、という感じですかね」

 宮下さんのトークに熱が籠もるが、卵焼きの上に乗ったタガメの存在が強烈過ぎて頭に入ってこない。これ、5センチくらいあるよな……。

「あ、タガメ気になっちゃいます?これ国内では希少なので、タイから塩煮したものをわざわざ取り寄せているんですよ」

関連記事

トピックス

精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン