国内

最下層女子校生 必要とされるならと知らない男に抱かれる 

現代を生きる女の子たちはほとんどが内向き

 9月1日は、1年の中で少年少女の自殺がもっとも多い日である。夏休みが終わり、新学期が始まるその日に自ら命を絶つのは、彼ら彼女らを絶望の淵に立たせる深い闇が関係している。精神的・肉体的虐待、性暴力、そして貧困や学校でのイジメなどさまざまな要素が複雑に絡み合い、10代20代の若年女子たちの心を蝕んでいるのだ。それがときに自殺などの自傷行為に走らせたり、カラダを売ることによって承認欲求を満たし、生活の糧にせざるを得ない状況がある。そんな女子たちを救おうと、これまで3000人以上の女子に寄り添って話を聞いてきたNPO法人『BONDプロジェクト』代表の橘ジュン氏が、このほど『最下層女子校生~無関心社会の罪~』(小学館新書)を上梓した。橘氏に若い女性たちが抱える「闇」について聞いた。

 * * *
──今の少女たちを取り巻く環境はそんなに厳しいものなのですか。

「相談したくても相談できない子が増えています。そういう子は、既存の制度からもこぼれ落ちてしまい、社会の統計からも消されて“透明”のような存在として、家族や学校、社会からもなかったことにされていくのです。DVなどの家庭的な事情、それに伴う精神疾患や体調不良、性被害を受けたことによる自尊心の欠如、親が貧困のため経済的に困窮状態にあるなどで、居場所を失い、孤立感に苛まれ、“生きづらさ”を抱えています」

──昔はレディス(女暴走族)などエネルギーを外で発散していたと記憶しています。

「当時から、私はそういう子たちをずっと取材し続けてきましたが、その当時の彼女らと現代に生きる女の子たちはかなり違うように感じます。仰るように当時の彼女たちは怒りや不条理なことがあると、それを外に向けて発散していました。しかし、現代に生きる女の子たちはほとんどが内向きです。常に受け身で自己肯定感が少なく、“自分なんて生まれてこなければ良かった” “自分なんてどうなってもいい”と自信を失っています。それが自傷行為やカラダを売ることで“自分は他人に必要とされている”と自分を納得させています」

──昔は援助交際というと、欲しいものを買うためにやっているというイメージがありました。

「もちろん、そういう子もいます。でも、私が話を聞いた子で多いのは、お金ももらわずに、自分が必要とされるならと、唯一そこだけが自分を肯定してもらえる場所だっていって知らない男に抱かれるんですよ。お金をもらうにしたって、せいぜい2万円です。しかも、ホテル代込みです。それどころか5000円や3000円でカラダを許しちゃう。私に言わせれば、自己肯定感が低い子が肯定されるために援助交際するのって立派な自傷行為だと思います」

──何か、信じられないような話ですね。

「一見、何も問題のないような子でも心に深い傷を負い、“死にたい”と口にする子もいます。医者の娘さんで貧困とは無縁。子どもの頃から、“医者になれ”とスパルタ教育を受けていました。とても優秀な有名私立大学附属中学に合格したんですが、父親が望んでいた第1志望の学校だけ落ちてしまった。そうしたら、親からは”バカ”呼ばわりされて、存在を無視されています。もっぱら親の愛は出来のいい弟の方に偏重して、彼女は家の中に居場所を失っています。それが“死にたい”という言葉を吐かせるんです。だけど、親も学校の先生も彼女の悩みを理解できないんですね」

関連キーワード

関連記事

トピックス

2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
警視庁が押収した車両=9日、東京都江東区(時事通信フォト)
《”アルヴェル”が人気》盗難車のナンバープレート付け替えで整備会社の社長逮捕 違法な「ニコイチ」高級改造車を買い求める人たちの事情
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン