内閣改造に自民党内から失望が広がっている。麻生太郎・副総理と菅義偉・官房長官とのトロイカ体制をそのまま残したのは既定路線だったにしても、若手議員時代からの友人である塩崎恭久氏、石原伸晃氏や、加藤勝信氏、高市早苗氏らお気に入りの側近大臣をすべて留任させたうえ、新たに入閣させた世耕弘成・経産相、稲田朋美・防衛相、山本幸三・地方創生相なども取り巻きばかり。側近で内閣を固め、「未来チャレンジ内閣」と名づけた。
一体、どんな未来にチャレンジしようというのか。自民党のベテラン議員や古参の政治部記者たちは、究極のお友だち人事の裏に、将来の政界の動きを占う要素が組み込まれていると見ている。
そのポイントの一つは、「安倍一強」といわれる安倍政権がいつまで続くかだろう。安倍晋三・首相は入院中の谷垣禎一・前幹事長の後任に、77歳の長老政治家・二階俊博氏を起用した。未来どころか過去に逆行するようなこの人事は「首相の延命装置」と受け止められている。
自民党の党則では総裁任期は最長「2期6年」と定められ、安倍首相の総裁任期は2018年9月に切れる。安倍首相は8月3日の会見で「任期延長は全く考えていない」と語ったものの、出身派閥の細田派内や側近の間では、党則を改正して安倍政権のまま2020年の東京五輪を迎えるという総裁任期延長論がある。
二階氏は改造前に「大いに検討に値する」と前向きな発言をし、幹事長就任会見では「機関を設けて議論する場を作っていく」と具体的な検討に入ることを表明した。自民党の大臣経験者が語る。
「党則改正は党大会で承認を得なければならない。細田派など首相シンパだけで強引に任期延長をはかろうとすれば他派閥が反発してまとまらないのは目に見えている。そこで実力者の二階さんを幹事長にする代わりに、任期延長で党内各派を説得する役回りをさせようという狙いだ」
※週刊ポスト2016年8月19・26日号