朝起きて眠い目をこすりながら新聞をパラパラとめくると、いきなり飛び込んでくる『家主と地主』というデカイ文字。全5段という大きなスペースで掲載された、賃貸不動産オーナー向け専門誌の新聞広告である。
見出しを見ると、「近所で飼われていたワニが逃げ出してアパート敷地内に出没し大パニック」「窃盗団が盗品や現金の授受にマンションの空室を悪用していた」といった驚く文言が並び、上品な顔立ちの女性編集長の顔写真に「業界をブッタ斬る!」「一刀両断」と対照的なコピーが躍る。
家主でも地主でもないが、思わず読んでみたくなってしまう不思議な雑誌だ──。
「新聞広告の反響は大きいですね。専門誌の広告で、あれだけの大きな広告を出すところは少ないので」
そう話すのは、『家主と地主』編集長の永井ゆかり氏。現在は日経新聞と読売新聞に定期出稿しているという。
『家主と地主』は『週刊全国賃貸住宅新聞』という業界紙から派生した雑誌で、2003年に創刊された。読者の多くは、文字通り家主や地主で、不動産投資や賃貸経営、相続などに関する情報を提供している。
「全国に家主と呼ばれる人々は300万人強います。“大家さん”というと年配の人というイメージがありますが、最近は不動産投資をするサラリーマンの読者が増えています」(永井氏)
アパートや住宅のメーカーは相続税対策を謳い文句に、新規物件を売りまくっているため、人口減に転じた日本では空き家がどんどん増えている。総務省の調査によると、2013年の空き家数は約820万戸で、全体の13.5%を占める。そのうち賃貸住宅は約430万戸で、半数以上を占める。