これまで『週刊ポスト』では、ジャーナリスト・岩澤倫彦氏による歯科治療のタブーに斬り込むシリーズ記事を度々掲載してきたが、全国の歯科医たちから賛否両論が噴出している。
そこで今回は、編集部や筆者に意見を寄せた、あるいはネット上で記事の批評を掲載していた歯科医を緊急取材。論争テーマへの率直な意見と、歯科業界の実状を本音で語ってもらった。それによって、見えてきた問題の核心とは──。
まず、本シリーズへの見解を聞いた歯科医を紹介する。
埼玉の大月晃氏(大月デンタルケア・理事長)は、歯科医7人、歯科衛生士16人を擁する、大規模な予防歯科クリニックを経営する。筆者のSNSに批判的なコメントを書き込むと同時に「この業界には医療人としてのマインドが不足している人もいる」と心情を明かした。
千葉の西尾元秀氏(ニシオ歯科・院長)は、東京医科歯科大・口腔外科出身の歯科医歴37年のベテランで、浦安市で保険診療主体のクリニックを経営。ブログで本誌連載を「大げさに悪意を持って書かれたもの」と厳しく批判した。
東京の小林優氏(村岡歯科医院・院長)は、歯を残す決め手となる根管治療のエキスパート。最新鋭のマイクロスコープなどを駆使、海外の歯科医との交流も深い。記事の主旨に一定の理解を示しつつも「歯科医の多くが、一生懸命にやりたくてもできないほど追い詰められている時代」と語る。
広島の三好龍治氏(三好デンタルオフィス・代表)は、自分自身が受けたい治療を目指した完全自由診療のクリニックを経営する。「かなり正確なことが書かれています。歯科医療、歯科医師に対する不信感が爆発する日が近いと感じます」と連載記事を評す。