2016年8月8日(現地時間8月7日)、メジャーリーグ(MLB)マイアミ・マーリンズ所属のイチロー選手(42)が、メジャー史上30人目の3000安打を達成した。6月16日には日米通算で4257安打を打ち、ピート・ローズの持つMLB通算最多安打記録を更新したイチロー。その知られざる「素顔」に迫った。(2016年8月9日更新)
プレーに関する流儀
毎日、寸分たがわぬルーティン
毎日、寸分たがわぬルーティンを行うのがイチ流。試合が本拠地で開催される日は、起床後、自宅に揃えたトレーニングマシンで汗を流してから球場入り。練習用のウエアに着替えて、ウオーミングアップ。試合では、打席に入る前、バッティングまでの一連の動作はおなじみだ。「試合後にはロッカールームでスパイクとグラブを磨きます。帰宅後は、食事までの時間を使ってマシントレーニング。食後もまたトレーニングをして、その後、2時間かけて全身をマッサージ。すべては試合で力を発揮するためです」(スポーツライター・友成那智さん)
ホームランを打ってもガッツポーズはしない
試合中、イチローの表情が変わることはほとんどない。それは最多安打記録を更新したときも同じ。「ホームランを打ってもガッツポーズはしません。相手投手に敬意を払っているからでしょう」(友成さん)
不振時は球場入りルートを変えゲン担ぎ
ゲン担ぎをするスポーツ選手が多いが、ルーティーンを厳守するイチローは、ほとんど行わない。するのは、バッティングが不振のとき、球場まで向かう車のルートをわずかに変えたり、車内でのBGMを変えたりする程度だ。
「スランプ大歓迎」驚異のメンタル力
「彼がここまでヒットを量産できたのは“スランプの時こそ絶好調”という考え方をしているからです。もし5打数5安打では、そこから得るものはない。でも、5打数ノーヒットなら、どうしたら打てるかを考え抜くので、頭が冴えわたるというわけです。スランプこそ成長のきっかけと考え、その原因を突き止めて脱出を図る。それを繰り返してきた結果が、この大記録だと思います」(メンタルカウンセラー・児玉光雄さん)
メディアに関する流儀
取材での日本語は自分の発言を正確に伝えるため
イチローは地元メディアの取材に対しても常に日本語を話す。大リーグにわたって16年目、英語はかなり上達していそうなものだが。「日本語で通しているのは、“自分の発言を正確に伝えたいから”です。実際には英語は堪能。チームメートとの会話ではスラングを使ってジョークを飛ばすほどです」(スポーツライター・友成那智さん)
記者にもプロの仕事を求める
記者を育てるのも選手の仕事。そう考えるイチローは、レベルの低い質問には「質問の意味がわかりません」とぴしゃりとはねつけるため、記者泣かせともいわれる。「メジャーに移籍してからは、ロッカールームには質問がある記者だけが行くようになりました。ベテランの通信社の記者が“代表取材”をしていた時期もあります。取材のプロだけを相手にしたいという、野球のプロであるイチローらしい考えといえます」(メジャー担当記者)
プレーに影響を与えるので野球のニュースは一切見ない
いい当たりを放ちながらヒットにならなかったことに「第三者の厳しい目で見てもらったらいい」と、舛添要一前都知事の言葉を踏まえてコメントしたこともあるイチロー。日本のニュースに関心が高い。「最近はロッカールームで、iPadで日本のニュースをチェックしています。経済ニュースにも関心を持っている。ただし、プレーに影響を与えるため自分に関するものを含め、野球のニュースは一切、見ないそうです」(在米ジャーナリスト)
食事へのこだわり
毎朝、食パンとそうめんを食べる
試合前のユンケルは欠かさない
朝カレーはやめても、続けているのが試合前のユンケル。「ユンケルを販売する佐藤製薬のCMに出続けているのは有名ですが、義理堅く続けているのもイチローらしいと言えます」(スポーツライター・友成那智さん)
ビール好きで、シーズン中も“解禁”
イチローはメジャーに移籍してから数年間、お酒はシーズンオフにしか飲まない生活を送ってきた。しかし最近は、晩酌を解禁。主にビールを飲み、ワインも好むという。
使う物へのこだわり
ジュラルミンのバットケースには乾燥剤
昨年マーリンズに移籍したイチローが周囲を驚かせたのは、ジュラルミン製のバットケース。「“湿気を吸うとバットの重さが変わってしまうから”と、乾燥剤を入れて使っています。そのこだわりに、記者はもちろん同僚選手も驚いています」(スポーツライター・友成那智さん)
マーリンズ移籍を機にスパイクを変更
イチローはオリックス時代からアシックスのスパイクを愛用してきた。しかしマーリンズ移籍を機に、「ビモロ」という無名メーカーに履き替えたのだ。「『ビモロ』は『初動負荷トレーニング』という理論を唱えるスポーツトレーナー・小山裕史氏が作ったシューズブランド。小山氏はイチローのトレーニングを長年バックアップしてきた人物で、彼のスパイクにイチローはすっかり惚れ込んでしまった。踵から爪先への体重移動をスムーズにする工夫が施されていて、一般的なスパイクの歯は6本から9本ですが、『ビモロ』は13本もあるのが特徴です」(スポーツ紙メジャー番記者)
遠征先には“マイ枕”、足裏マッサージ器持参
体のコンディションに人一倍気を使うイチローは、遠征先には“マイ枕”を持参する。「いつもと違う枕で寝て、首に負担をかけたくないからです。足裏マッサージ器も常に持ち込んでいます」(在米ジャーナリスト)
イチローの私生活
愛車は5000万円超のポルシェ
野球が趣味というイチローにあって、唯一の趣味といえるのが車の運転。「日産のスカイラインなど複数の車を持っていますが、球場への行き帰りに使っているのはポルシェ。5000万円以上する車種です」(メジャー担当記者)
愛車の中でよく聴くのは『いきものがかり』
野球にはストイックなイチローも、野球以外では音楽を聴いてリラックスする。「基本的にはJ-POPです。以前は愛車の中でザ・ブルーハーツをよく聴いていましたが、数年前からサザンやミスチルも。最近はいきものがかりも聴いています」(メジャー担当記者)
『白い巨塔』『すべらない話』が大好き
ドラマ『古畑任三郎』にゲスト出演したことのあるイチローは大のドラマ好き。お気に入りは『白い巨塔』で、目的のためには手段を選ばない主人公・財前教授に惹かれるという。また、バラエティーは『人志松本のすべらない話』をDVDで見ている。雑誌のインタビューではかつて松本人志を「とんでもない才能の持ち主」と絶賛していた。