サラリーマンの老後資金の虎の子ともいえる「退職金」。かつては年功賃金・終身雇用を前提に整備されていたが、それが今、激変の最中にある。
年功よりも実質的な会社への貢献度を評価する「ポイント制」の導入や、確定拠出型年金への一本化などにより、人事評価も退職金額に直結するシビアな時代となった。
退職金だけではない。「サラリーマンの年収」も時代とともに移り変わっていく。企業や業種の栄枯盛衰が如実に現われるその様は、まさに時代の映し鏡。
本誌は東京商工リサーチの協力のもと、2015年度の全上場企業(3614社)の「平均年収ランキング」を作成した(以下、ベスト5)。
・1位/M&Aキャピタルパートナーズ(東京都・サービス業)/2253万円
・2位/GCAサヴィアン(東京都・サービス業)/2154万円
・3位/キーエンス(大阪府・電気機器)/1777万円
・4位/日本商業開発(大阪府・不動産業)/1741万円
・5位/ファナック(山梨県・電気機器)/1571万円
ランキングには「異変」が起きている。高収入のイメージが強かった企業が軒並み苦況に立たされているのだ。特に目立つのがテレビ局である。
2013年度のランキングでは、トップがフジテレビやニッポン放送を傘下に置くフジ・メディア・ホールディングス、2位はTBSホールディングスで、トップ10のうちテレビ局が半数を占めていた。
ところが今回のランキングでは、上位10位に入ったテレビ局は朝日放送(1498万円・7位)とTBSホールディングス(1491万円・8位)の2社のみ。フジ・メディア・ホールディングス(1430万円)は平均年収が2013年度から76万円も下落し、ランキング1位から12位に転落している。
かつて民放の王者として「この世の春」を謳歌したフジテレビだが、近年は視聴率が急降下。社員の懐にも影響は大きかった。40代のフジ社員がいう。
「夏のボーナスは30万円カットされたという嘆きの声が社内のあちこちから聞こえました。番組作りで挽回しようにも、上層部からは『とにかく経費を削減しろ』の声ばかり。番組予算は大幅に削減、地方ロケの企画は敬遠され、学生バイトに通訳を頼むこともしょっちゅう。深夜のタクシー帰宅も近くに住む人と相乗りです」
※週刊ポスト2016年8月19・26日号