2020年に開催される東京五輪の後、日本の政治は大きな転機を迎える。新国立競技場など巨大開発事業が終わって急激な不況に突入し、高齢化は一層進む。社会を支える現役世代の負担は重くなる一方だ。
「五輪までは日本は何とか乗り切れるかもしれないが、真の危機はその後に訪れるのではないか」
そう語って「五輪後こそ出番」と考えているのが小泉進次郎氏だ。内閣改造人事ではいよいよ進次郎世代の議員が副大臣などに登用され、「次の次の首相」のサバイバルレースの号砲が鳴った。
自民党の若手議員の出世コースは、「政務官」「国対副委員長」「政調の部会長」などを経て役所の行政、国会運営を学び、副大臣に就任することだ。自民党青年局長も若手登竜門のひとつ。
進次郎氏は青年局長から復興政務官、農水部会長を務めてきたが、実は同期の出世頭は別にいる。
一番早く副大臣を務めたのが木原誠二氏だ。財務官僚出身で外務政務官時代にはモンゴルとの経済連携協定(EPA)交渉で政治家として初めて首席交渉官を務め、その後、国対副委員長から進次郎氏より一足早く外務副大臣に就任(2015年10月)した。官僚出身の若きエースで、霞が関では「進次郎のライバル」とみられている。
もう一人、若手のタカ派のホープが木原稔氏。防衛政務官、青年局長を歴任し、「マスコミを懲らしめる」といった若手議員の発言が問題になった「文化芸術懇話会」の代表だったことから責任を問われて青年局長を更迭され、1年間の役職停止処分を受けたが、わずか3か月後に党文部科学部会長に出世した。
世間の進次郎氏への注目度は高いが、“永田町のプロ”はこの「2人の木原」がリードと見ているのだ。
「敗者復活組」もいる。党内リベラル派の期待を集めるのが、一度は「次の次の総理本命」と言われながら政治とカネでつまずいた小渕優子氏である。リベラル派議員の間では、岸田氏よりも、復活を期す小渕氏のほうが将来的には目がある、という声も多い。
10年後の自民党ではこの4人を軸に「次の次の世代」の首相レースが展開されると見られている。
対抗する民進党の若手のホープとしては財務官僚出身の玉木雄一郎氏の名前があがっているが、果たして10年後に民進党が残っているかどうか疑問がある。
※週刊ポスト2016年8月19・26日号