Eテレで放送されている子供向け番組『ニャンちゅうワールド放送局』に出演している「おねんどお姉さん」。得意の粘土を駆使して、あらゆるものをつくるテクだけではなく、キュートなキャラクターがじわじわと話題を集めている。その奮闘ぶりについて、コラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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リオ五輪に高校野球、さらにはイチローの3000本安打達成とスポーツの話題満載の今日この頃。スポーツ以外の番組は、正直、とってもやりにくい環境といえる。そんな中、Eテレで奮闘したのが、おねんどお姉さんのひとみ(岡田ひとみ)である。五輪開催最初の日曜日午後、彼女のスペシャル番組『おねんどお姉さん全国へおじゃま!ニャンちゅうワールド放送局スペシャル』が放送されたのだ。
「おねんどって何!?」という方も多いと思うが、このおねんどお姉さんは、Eテレで長く親しまれる『ニャンちゅうワールド放送局』の2013年からのレギュラーメンバーで、粘土により、さまざまなものを作り上げるすごい技を持っている。外見は、虹色のひらひらスカートに首には白いスカーフ、ピンクのパフスリーブのドレス、頭にはやっぱり虹色のヘアバンドというファンタジックなスタイル。一部では堀北真希に似ているといわれる、瞳パッチリ美人だが、なんといっても特長は、その上品な言動だ。
そもそも粘土に「お」をつけるこの感覚。製作を始めるときには、「レッツ、おねんど」「うふふ」と声をあげるだけで、キラキラとハートマークが飛び交い、粘土を形作る際には、「こねこね~」と優しく解説。ちょっと地球人離れしていると思ったら、案の定、お姉さんはふだんは雲の上のスタジオで活動していて、「これは」と思ったものがあると、地球にやってきて粘土で製作。「世界ねんど遺産」に認定するという活動をしている。ひとりユネスコのような存在なのだ。
スペシャル番組では、仙台や京都のおともだちの家におじゃまして粘土であらゆるものを製作。仙台では、雲の上に暮らすお姉さんがまだ見たこともない「ほや」を製作することになり、お寿司屋さんを訪問。ほやはあったかい? 「だって、できたてのほやほや」などと言いだして、寿司職人さんに微妙な反応をされていた。
しかし、いざ、粘土を手に取ると、お姉さんは本領発揮。絵具で黄土色をつけた粘土を、茶こしでぐぐっと押し出し、ジャミジャミさせた「うに」はすごくリアル。さっきまでお姉さんのメルヘン世界にどう対応していいのかと困惑気味だった寿司職人さんも、出来上がった「うに」やつややかな「ほや」には、「すごいですね」と驚いていた。
レギュラーの放送でも、細部にわたり作品でリアリティを出すお姉さんは、実は十年以上「ねんドル」として活動している本格派なのである。幼児番組やイベント、国内外でも活動しているという。私も知り合いの子供の小学生に聞いて初めて知ったが、今、おもちゃ売り場では、ケーキやパフェはもちろん、ところてんのようにニュルニュルと粘土を押し出してうどんを作ったりする、ミニチュア料理をねんどで作るおもちゃが人気なんですね。その人気の後ろでひとみが微笑んでいるような…。ちなみに来る9月1日は、ク・レ・イで「ねんどの日」。その認定にもおねんどお姉さんが尽力したという。
スポーツの熱血応援に疲れたら、ふとおねんどお姉さんの「うふふ」を思い出すのもいいかも。お薦めです。