25年ぶりのリーグ優勝が現実的になってきた2016年の広島カープ。25年前の優勝を知るOB3人、安仁屋宗八、達川光男、北別府学の3氏が、「CSに弱い」「11.5ゲーム差をひっくり返された長嶋巨人によるメークドラマ(1996年)の再来はあるのか」などについて語りあった。
──達川さんは元キャッチャーとして投手陣をどう見ますか。
達川:配球が変わったね。今年から急にインサイドを使うようになった。ボクらの現役時代には、インサイドを2割くらい使えと言われたもんじゃけど、今は5割くらいに思える。特に中崎(翔太、19セーブ、防御率1.50/8月3日終了時点)はストッパーなのにインサイドをバンバン突く。それでも抑えよる。
安仁屋:ぶつけたらどうしようと思ったら、インコースはよう投げんからね。怖がって投げると甘くなって打たれるし。
達川:カープの投手陣は遠慮せずに、勝負に徹している。キャッチャーが後で安仁屋さんに叱られるのを怖がってるんですかね。安仁屋さんがコーチだった時代のミーティングは「今日はインコース攻め。はい、終わり」じゃったけえね(笑い)。
──安仁屋イズムも浸透し、戦力は充実。それでも、まだ安心はできませんか?
北別府:強いて心配な点を挙げるとするなら、クローザーの中崎を使い過ぎかなというところかな。中崎は強引に抑え込むタイプではなくて、球のキレでかわすタイプ。少しスピードがなくなると打ち込まれる不安があるんですよ。
達川:ストッパーはかつての津田恒実、小林誠二、大野豊もそうだったけど、スピードが落ちれば打たれる。
──やはり、優勝を断言するのは難しい?
安仁屋:うーん、毎朝の散歩すれ違う人がみんな「今年は優勝ですね」と言ってくれるんです。でも、「まだ分からんですよ」と答えている(笑い)。腹の中では“優勝”と思ってはいても、口には出せない。やっぱり巨人との直接対決が10試合、残っているしね。