「90歳、いつまで生きてるつもりだ」という高齢者軽視とも取れる発言で、批判の声が集中した麻生太郎氏。この度発足した第3安倍第2次改造内閣でも、麻生氏は副総理兼財務相に留任したが、先の発言について、当の高齢者は何を思うのか。最新エッセイ集『九十歳。何がめでたい』がベストセラーとなっている御年92才の佐藤愛子さんに話を聞いた。
(取材・文/佐久間文子)
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先日、麻生太郎財務相が「90になって老後が心配とかわけのわからないことを言ってる人がテレビに出てたけど、いつまで生きてるつもりだよ」と発言して非難された。
「私、自分でもそう思うんです。いったい、いつまで生きるんだろうって。いい加減、くたばりたい(笑い)。ああいうことを時々言うから麻生さんは面白いんで、彼のキャラクターだと思えばいいんです。いまの世の中を一言で言えば『いちいちうるせえな』、これに尽きますよ」(佐藤さん 以下「」は同」
特に女の人がうるさいですね、と佐藤さん。
「何でもかんでも、いちゃもんつけるネタを探して、朝起きるんじゃない? 今日は何があるかな。ひとつこれでいちゃもんをつけてやろう、って。そういう楽しみで日々を埋めているんじゃないですか?」
佐藤さんにかかると、アラ探しまでがどことなく面白そうに聞こえてしまう。時ならぬ田中角栄ブームにも一言。
「急に角栄、角栄ってことになっているけど、昔はほとんどのメディアが叩きまくっていましたよ。私は田中さんがいろんな力を持った政治家だということは認めるけど、日本人が物質主義者になり、土地を転がして儲けるような金権体質になったのはあの頃からじゃないかと思うんです。
角栄さんが懐かしがられるのは、ある意味、破天荒な人だったからでしょう。いまは破天荒が許されない世の中ですから。箸の上げ下ろしにまで文句を言おうと待ち構えている人が、日本中にいますものね」
私心なく、歯に衣着せずにズバっとものを言う佐藤さんのような人を政治家にかつぎ出そうという動きは、これまでなかったのだろうか。
「そんなのあるわけないじゃないですか。昔のことですが、佐藤さんにもいろんな声がかかるでしょうと言われることがあって、私のように、党の秘め事はぺらぺらしゃべる、裏切ると意識せずいつのまにか裏切っているような人間は危険きわまりない。政治家はそれほどばかではないんで、そのぐらいのことはちゃんと見ている、って新聞に書いたことがありますよ」
撮影■楠聖子
※女性セブン2016年8月18・25日号