現在の少子高齢化の日本では空き家が増えているのに、相続税対策で新規物件が続々と建設されている状況がある。そんな場合においては、古い物件ほど空き家になる傾向が強い。
古い空き家で頭を悩ませている家主は多く、賃貸不動産オーナー向け専門誌『家主と地主』最新号(2016年8月号)に掲載されている「業界トレンド最前線! TOPICS」では、築年数の古い賃貸物件のオーナーが入居者を獲得した成功例がいくつも紹介されている。
たとえば、「築61年の戸建てと平屋をアトリエ付き住居として募集 服飾系学校出身の20代女性が4名でルームシェア」という記事。家主が取り壊しを予定していた築61年の2階建て戸建て住宅と、築52年の風呂なし20平米のワンルームの平屋をセットにして、「改装可能なアトリエ付き住居」として募集したところ、クリエイターやアパレル関連の会社に勤める20代の女性4人がルームシェアで入居した事例を紹介している。同誌編集長の永井ゆかり氏が解説する。
「ルームシェア自体は特に新しくないのですが、古い民家をシェアハウスに改装するのが、最近のトレンドです」
バックナンバーを遡ると、近年では2015年8月号の「専門誌が掴んだトラブルの真相 サブリース徹底研究」の反響が非常に大きかったという。サブリースとは「転貸借」のことだが、一般的には住宅のメーカーが家主に賃貸物件の建設をもちかけ、「一括借り上げ保証」や「空室保証」をして建てさせることをいう。
「管理や経営は丸投げで楽に見えますが、物件が古くなると家賃を下げないと新たな借り手が見つからないので、サブリース会社から家主に支払われる家賃も減額されます。でも、アパートを建てた家主にとっては、ローンの返済額は変わりません。
こういう事実を知らないまま、『相続対策になります』『うちが借り上げますから』といわれて、とんでもない郊外に賃貸アパートを建てるケースは少なくありません。そうした現状やリスクを特集したこの号は完売しました」(永井氏)
反響を受けてサブリースに関しては「サブリースのリスクを徹底解剖!」という連載記事になり、2016年7月号ではサブリース会社からの家賃減額要求に対する対応方法を解説している。記事では、契約書に家賃の見直しは契約から4年後と明記されているのに、2年後に家賃減額のゴリ押し要求があり、裁判沙汰にまで発展した事例が紹介されている。
※週刊ポスト2016年8月19・26日号