7月の参議院議員選挙で、非改選を合わせて自民党を含む改憲勢力が3分の2を占めたことで、中国は安倍政権の憲法改正の動きに警戒を強めている。
そんななか、ジャーナリストの相馬勝氏は「日本では右翼勢力が台頭しており、近い将来、核武装に踏み切るのではないか」などと予測する中国人民解放軍の内部文書を入手した。
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中国人民解放軍の内部文書は「日本の核武装に警戒せよ、世界平和に大きな影響」と題し、人民解放軍機関紙「解放軍報」を発行する解放軍報社傘下の軍の内部部門である「国防参考」が出版。
「国防参考」は軍の幹部を対象に、軍事情勢を中心にした中国内外の重要なニュースや時事解説、解放軍中枢からの重要指示などを伝達するものだ。
中国の傅聡軍縮大使が昨年10月の国連総会で、日本の「核武装論」を非難している。今回の参院選の結果を受けて、中国が日本の核武装論をテコに再び対日批判を強めることが予想されるが、その動きは、この「国防参考」の内容からある程度、予測できるだろう。内部文書の主要部分は、以下の通りだ。
日本では原子力発電所の稼働によって、核兵器を製造するための原料であるウランやプルトニウムといった核物質を豊富に保有している。同時に、核兵器を持たない国のなかでは唯一、ウランの濃縮や使用済み燃料の再処理によるプルトニウムの製造技術といった、核兵器に転用可能な核物質を製造する一連の技術も保有する。それゆえ、日本は「2000発の核弾頭を製造できる」とし、それも「短期間で」と付け加えている。
さらに、文書は日本の核兵器製造をめぐる歴史的経緯や政治・経済動向、科学的な裏付け、日本の核武装正当化のための国際関係や領土問題に加え、日本の核武装を阻止するための中国の対応についても詳しく解説している。
●そうま・まさる/1956年生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。産経新聞外信部記者、香港支局長、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研 究員等を経て、2010年に退社し、フリーに。『中国共産党に消された人々』、「茅沢勤」のペンネームで『習近平の正体』(いずれも小学館刊)など著書多 数。近著に『習近平の「反日」作戦』(小学館刊)。
※SAPIO2016年9月号