夏休みを利用して、大学が受験生に学校を解放して中味を知ってもらう「オープンキャンパス」が開かれている。だがそれだけではなかなかわからない大学生の実像とはなにか。むしろ保護者世代こそ、知らねばならない事実をコラムニストのオバタカズユキ氏が指摘する。
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夏休みも後半戦。接客に気合いを入れ直しているのは行楽地の業者ばかりじゃない。オープンキャンパスを開催中の大学も受験生サービスに必死だ。
なにしろ全国の私立大学の約4割が定員割れをおこしている時代である。18歳人口の減少で、大学経営の悪化が一気に顕在化する「2018年問題」を目前に、どこの大学も目を吊り上げている。
エンタメ要素を詰め込んだ体験授業で来客に楽しんでもらおうとするのは基本形。中には、入場者に1000円の図書カード進呈などという大学もある。どれだけ打つ手がなくなっているのかよくわかる。
そんなオープンキャンパスで見ることができるのは、当然のことながら素顔の大学ではない。だから、毎春刊行の『大学図鑑!』では、大学見学はできるだけ平日に行こう、ふだんのキャンパスを覗こう、と提唱してきた。自分に合った大学に進みたいなら、高校を休んでもそうする価値があると思うのだが、実践のハードルは少し高いかもしれない。
そこで、みんなが普通に行く夏のオープンキャンパスの利用の仕方をひとつ提案したい。この行事のいいところは、在学生が受験生やその保護者などの相手をする、個別のQ&Aの機会を設けてくれるところだ。オープンキャンパスでの個人面談は面接試験でもなんでもないので、聞きたいことを遠慮なく聞けばいい。
私が受験生ならば、是非ぶつけてみたいのは、「みなさん、やっぱり忙しいですか?」という質問だ。学生自身の一日の典型的なタイムスケジュールを聞き出したい。
というのも、毎年、「忙しい大学生がやたら多い」と実感させられているからである。「大学生活=暇たっぷり」というのは保護者世代の昔話だ。もちろん、大学差、学部・学科差、個人差は大きいのだけれど、総じて、学生たちはバタバタしている。サークル部室でぼけーっと暇つぶしをしている学生さん、といった姿はレアになってきている。
では、最近の大学生はなぜ忙しいのか。主に3つの要因があると思う。
その1つは、「近頃の学生は授業によく出るから」だ。理系や医歯薬系の学生は昔からそうだったが、今は文系も暇人が少ない。さぼれない授業が多いし、授業をさぼりたいという学生の欲求も下がっている感触がある。
参考データとして、東京大学が実施した「大学教育の現状と将来~全国大学教員調査」がある。それによると、大学生の授業出席率の平均は8.6割だ。教員に尋ねた結果の数値とはいえ、驚異的に高い。この調査は2010年のもので少し古いのだが、いわゆる楽勝科目は年々減っており、出欠をきちんと取る授業が増えているので、現在の大学生の授業出席率はよりアップしているはずだ。
保護者の世代では「代返」が盛んに行われていたが、今は少人数教室が増えてそれも難しい。というか、そこまでの「手間」をかけてサボるよりも、授業に出て寝たほうが楽と考える向きが強くなっている。
また、かつては3年か4年次から始まったゼミが、今はほとんどの大学で1年、2年次からスタート。その準備のために必要な時間も多い。課外時間にゼミのメンバーがミーティングを開く日程調整が大変だ、というゼミ長の愚痴もありがちだ。なんだかんだ用事のある者が多く、全員集合が難しいのである。