ビジネス

老後支える退職金 勝ち組・負け組が分かれる激変の時代

退職金で老後は安泰かと思いきや?

 企業の退職金はブラックボックスに包まれているところもあり、各社いくらもらえるのかを知るには、OBらに直接聞くしかないのが実情だ。そんな中、本誌の取材に有名企業OBらが明かした退職金額は、「電通・部長クラス(58歳早期退職)4100万円」「全日空・パイロット経験者3800万円」「三井物産・部長クラス3000万円以上+企業年金」「リクルート(40歳で起業)1800万円」といった数字が並ぶ。

 また、「経営者の歴代退職慰労金トップ10」(東京商工リサーチ調べ)をみてみると、こちらはサラリーマンの水準とかなりの乖離がある。

 ダントツ1位はオリックスの宮内義彦・元会長(44億6900万円)、カシオ計算機からは創業者の樫尾俊雄・名誉会長(13億1900万円)、昨年まで34年も社長に君臨した和雄・会長(11億3800万円)など3人がランクインしている。

「役員の退職慰労金は各社とも明確な支給規定がなく、長年務めただけで業績と関係なく巨額のお金を支払うことに株主から批判が出ることも少なくありません。このため制度そのものを廃止する企業が増える傾向にあります」(東京商工リサーチの坂田芳博・情報部課長)

 一方、大企業に比べて中小企業の退職金事情は深刻だ。東京都公表の「中小企業の賃金・退職金事情」(2014年度)によると、大卒の定年退職で1383万円。

「この調査によると、71%が退職一時金のみで年金払いをやめている。経営の負担から、退職金を止めてしまうケースもある」(人事ジャーナリスト・溝上憲文氏)

 公務員はどうか。内閣人事局「退職手当の支給状況」(2014年度)によると、霞が関の事務官僚で2225万円と民間企業に近い水準だが、事務次官級まで上り詰めれば約6000万円。天下り先でも退職金を手にできるケースがあることを考えると、かなりの高水準である。

 老後の生活を支える退職金。激変の時代の中で「勝ち組」と「負け組」ははっきり分かれつつある。

※週刊ポスト2016年8月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン