ゴキブリといえば嫌われ者の代表格だが、なぜこんなに人間に嫌われるのか? その生態や習性を知れば、ゴキブリの本当の恐ろしさも見えてくる。知られざるゴキブリの実力とその撃退方法を紹介しよう。(2016年8月20日更新)
◆ゴキブリの生態&習性
︎夜になると動き出す
基本的に夜行性で午後11時半~午前0時頃を過ぎると動き出す。「もしも、午後8時頃に現れたら、家にゴキブリが多くいるあかし。居心地のよい隙間が他のゴキブリだらけになり、居場所がなくイヤイヤ出現したと考えられます」(『ゴキブリ取扱説明書』著者の青木皐さん)
︎水だけで42日間生存可能 恐るべきその生命力
頭とお尻のあたりの2か所に、脳のような役割を持つ神経の塊があり、頭がもげても、しばらくは生きていられる。水だけで約42日間は生き延びられる。走るスピードは時速約320km(※人の身長に換算した場合)で新幹線より速い。
︎最も快適な温度は28℃
ゴキブリは熱帯にいた昆虫。寒さに弱く、5℃以下では生きられない。冬は温度が一定に保たれる押し入れや段ボール箱などでおとなしく過ごし、15℃を超えたら活動を再開する。元気になる最適温度は28℃だ。
︎1匹が産む子孫は3年で100億匹!
1度の交尾でチャバネゴキブリで6回ほど、クロゴキブリは20回ほど妊娠できる。理論上、チャバネゴキブリは1匹の受精したメスから、1年半(5世代)で100億匹以上のメスが生まれる計算になる。
︎地球上で出されるメタンガスの20%がゴキブリなどの“おなら”
ゴキブリは15分おきにおならをしており、死後18時間はメタンガスを放出し続ける。こういった昆虫のおならを集めると、地球で放出されるメタンガスの20%に。地球温暖化の要因になっている!?
◆潜んでいる場所&侵入経路
︎冷蔵庫の裏側やコンセントの内部などに潜む
「狭く暖かい場所を好むゴキブリにとって、電気熱で温められる場所は格好のすみか。冷蔵庫の裏側やコンセントの内部などにじっと潜んでいます」(アース製薬広報室の野崎秀之さん)
︎段ボール箱や服に潜んで侵入
「マンションの高層階だから安心と思ったら大間違い。窓から自力で入ってくるより、“人間が外から連れてくる”ケースが多い。例えば、買ってきた観葉植物には、鉢の底面や土などに卵や幼虫がくっついていることがあります。また、宅配便の段ボール箱や、私たちのかばんや服に潜んでやってくるのです」(青木さん)
◆家に出現させないためには?
︎餌を減らすために家を清潔に
「ゴキブリのエサや潜伏場所を減らすため、食べカスや生ゴミはすぐ処分し、家の隅々まで日々の掃除を心がけることが何より大事です」(野崎さん)
︎柑橘系の果物を置くと嫌がる
「柑橘類に含まれる成分『d-リモネン』がゴキブリに効果を発揮します。レモンの果汁を数滴、水に混ぜて吹きつけるとゴキブリは動けなくなるほど。部屋の隅にレモンの皮やミント、ハッカなどハーブ類を置くと効果的です」(青木さん)
︎家具と壁の間を15mmあける
「家具を壁にぴったりくっつけても、隙間はどうしても生じます。家具と壁を最低でも15mmほど離すと、ゴキブリの大嫌いな風と光を取り込むことができ、ゴキブリにとって心地よい居場所をなくせます」(青木さん)
◆撃退方法
︎対策粘着シートや殺虫スプレーが確実
「殺虫スプレーの有効成分には、気絶させるなどして、動きを止める薬剤と殺す薬剤の2種類が含まれています」(ライオン薬品第2研究所の児玉達治さん)、「粘着シートタイプの駆除シートを何十個も置いておくと、ゴキブリが多い家では結構引っかかります」(青木さん)
︎ゴキブリ殲滅の3原則は「発見・撃退・予防」
まず発見するには「粘着紙トラップ作戦」が効果的。夜、キッチンを中心に引き出しや扉を少し開けてゴキブリが移動しやすいようにする。そして市販の粘着紙をポイントに置く。「ゴキブリが捕獲されたら、どのシートにどれくらいいるかチェック。隠れ場所の傾向がわかります」(青木さん)隠れ場所がわかったら、風を通すなどして嫌がらせを。
︎秋・冬には「くん煙剤」が効果的
秋・冬の時期のゴキブリは暖かい隙間に集まりやすい。「冷蔵庫の裏側など、人の手が届きにくい場所に集まります。この時期のゴキブリは活動が低下し食欲はさほどないので、『毒餌剤』を使用するよりは、部屋の隅々まで薬剤が行き届く『くん煙剤』が効果的です」(野崎さん)