日本のメダルラッシュに沸くリオデジャネイロ五輪がいよいよ大詰めを迎えた。中でも男女アベックメダルの卓球は大いに盛り上がった。
試合では、前回ロンドン五輪で銀メダルを獲得した女子団体が、リオでは銅メダル。男子は不動のエース・水谷準(27=ビーコン・ラボ)がシングルス銅メダル、団体でも銀メダル獲得の立役者となった。
この史上初の快挙によって、かつて「オタク」「根暗」なイメージのあった卓球が、まさかここまで脚光を浴びるとは。大歓待を受ける彼らを見て、「あわよくば、うちの子も」と野望を抱く親も多いのではないだろうか。
実際、幼いうちから卓球を始める子どもは多く、リオ五輪の代表メンバーである福原愛(27=ANA)は3歳、石川佳純(23=全農)は7歳、伊藤美誠(15=スターツ)に至っては3歳になる少し前から卓球を始めている。確かに卓球は卓球台を置けるスペースと、卓球を経験したある程度のレベルの指導者さえいれば、自宅で子どもの練習が可能だ。テレビで繰り返し流れる福原、石川、伊藤の幼い頃のVTRを見ると、自宅リビングルームに置かれた卓球台で厳しい母親が指導し、思うようにならないと泣き出す3人の姿が酷似している。
同じ子どものスポーツでも、かたや高額なレッスン料がかかるゴルフやテニス、冬の競技でいえばフィギュアスケートなどと比べると、卓球はだいぶお手軽に見える。
しかし卓球とて、そう甘くない。試合の際の遠征費がかさむのだ。日本卓球協会が選手育成を目的に1980年代に設けた「ホープス」(小学6年生以下)、「カブ」(小4以下)、「バンビ」(小2以下)という年代別全国大会があり、卓球をやっている親子は全国津々浦々へ出かけていく。あるトップ選手の母親は、「交通費節約のために新幹線は使わず自家用車で移動。運転はもちろん自分でします。食事代もなるべくかからないよう、炊飯器とお米を持参していました。おかずはもっぱらレトルトカレーです」と話す。
炊飯器持参は卓球界では珍しくない。石川選手の「試合のときは、お母さんのおにぎりがパワーの源」という話は有名で、遠征先で米を炊く母親は少なくないのだ。選手も炊き立てご飯はうれしいようで、自らも海外の大会に炊飯器を持参する例はよくある。