ストレスを長時間受けたり、一定以上の強いストレスを受けたりすると、命の危険も脅かす事態になりうる。過剰なストレスは、病気を引き起こすのだ。
ストレスは、自律神経やホルモンのバランスを崩すことで、さまざまな病気の原因になる。自律神経は24時間休まずに、心臓や胃腸などの内臓の動きや睡眠をコントロールしている。
自律神経には2種類ある。昼間に人間が活動しているときに活発に働く「交感神経」と、夜間に人間が休息しているときに働く「副交感神経」だ。敬愛病院附属クリニック院長の知久正明医師が言う。
「不安やストレスを感じると、交感神経が亢進し、血管が収縮したり、血圧が上がったりします。これは、走っている状態がずっと続いていることと同じなんです。よって、長時間続くストレスは心臓や血管に負担をかけ、高血圧や、心筋梗塞などの心臓病を引き起こすことがあります」
体が眠りにつくときは副交感神経が優位になり、目覚めるときに交感神経が活発になる。特に副交感神経と交感神経が切り替わる午前中にバランスが崩れがちなので、気をつけたほうがいいという。
「心筋梗塞などによる突然死は午前10時までが起きやすいといわれています。特に、月曜日の午前中は週末のリラックス状態から急激に緊張状態に切り替わるので、最もバランスを崩しやすく、月曜の午前中は突然死が多いといわれています」(知久医師)
さらに、自律神経の乱れは胃腸系の病気も引き起こす。
「交感神経が活発に働くと胃酸の分泌が過剰になって、胃炎や腹痛、胸やけ、吐き気といった症状のほか、ひどくなると胃潰瘍、十二指腸潰瘍になります。胃がんもストレスが背景にあることが多いです」(丸茂医院院長の丸茂恒二医師)
また、自律神経だけでなく「過度なストレスは免疫力を低下させる」と丸茂医師は言う。
「ストレスが溜まると、ステロイドといわれる副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されます。このホルモンは、免疫力を低下させる働きがあります。これによって、風邪やインフルエンザといった感染症にかかりやすくなります。また、がんにもかかりやすくなります」
たとえ、病気にならなくても、不眠、食欲不振、食べすぎ、だるさ、頭痛、下痢といった不調の原因は、ストレスであることが多い。横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長の山本晴義医師が語る。
「人それぞれ、体質的や遺伝的に発症しやすい症状があって、そこにストレスが加わると、より強く出てきます。例えば、頭痛持ちの人は頭痛になりやすいし、お腹をすぐに壊す人はストレスで壊したりする。ストレスは万病のもとです」
また、体だけでなく心の病も引き起こす。
「ストレスによる心の症状として、不安やイライラ、怒り、緊張、焦燥感、悲しみ、落ち込みや、気力や集中力の低下がみられ、仕事や家事の能率も落ちてきます。ひどい場合は神経症やうつ病になることもあります」(山本医師)
※女性セブン2016年9月1日号