物言わぬペットのとっさのトラブルに、どう対処すればいいのか、悩んだ経験がある人は多いのではないでしょうか。
「2才の猫を室内で飼っています。持病はないし、人懐こいので、犬のようにリードをつけて一緒に散歩をしてみたいのですが、『猫に散歩は必要ない』と夫に言われました。それって本当ですか?」(群馬県・りったん・37才・会社員)
この悩みに、『ネコぺディア―猫のギモンを解決』(秀明出版会)などがある、猫専門動物病院「Tokyo Cat Specialists」(東京・港区)院長の山本宗伸さんが答えてくれた。
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最近、“猫は完全に室内飼育”というかたが増えています。運動不足になるのでは、と思われがちですが、猫に必要な1日の運動量は数十分程度。家具やキャットタワーなど、上下運動ができる環境があれば、ご主人の言う通り、室内飼育だけで問題ありません。
ただし、それだけでは生活に刺激がありません。“運動としての散歩”は必須ではありませんが、外に出すのはよい刺激となり、ストレス発散や気晴らしになります。外を怖がらない猫であれば、散歩をしても大丈夫です。
猫を散歩させる時は、必ずハーネス(胴体に着せるタイプのリード)をつけてください。最初はハーネスを嫌がる猫もいるので、室内でも着け、あらかじめ慣らしておきます。そして、庭やマンションの敷地内など、身近なところから散歩の練習を始めましょう。
実際、猫と散歩してみるとわかりますが、犬のように人間と並行して歩くのはほぼ不可能です。きちんと歩かず、急にゴロゴロ転がったり、その場で丸くなってしまう子もいます。
ですから、無理に一緒に歩き回ろうとはせず、飼い主は公園のベンチにでも座り、ゆっくり過ごすだけでも充分です。猫にとっては風や緑のにおい、鳥の鳴き声や虫の動きなど、すべてが刺激になります。
犬は運動不足を解消するために散歩を行いますが、猫の場合は刺激を与え、気分転換のためのものと考えましょう。散歩というよりは、“日なたぼっこ”のイメージに近いかもしれません。
外の世界は危険もたくさんあります。飼い主が注意しないといけないのは、逃げ出さないよう、サイズの合ったハーネスを選び、散歩中はリードを絶対に離さないこと。
猫は驚くとパニックを起こして、急に走り出すことがあります。散歩コースは、工事現場など大きな音が出る可能性がある場所は避け、交通量の少ない道を選びましょう。そして、ワクチンに加え、ノミ、ダニ、フィラリアの予防もしっかり行うことが大切です。また、病気をうつされないためにも、散歩ルートに野良猫が徘徊していないかの確認も行いましょう。
そして何より、無理強いしないこと。散歩は愛猫の様子を見ながら、安全を確認した上で行いましょう。
※女性セブン2016年9月1日号