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がん発症率に地域格差 東京は突出して乳がん多い

生活習慣の違いもがん発症率に影響か(写真:アフロ)

 47都道府県でがんの発症率は大きく異なるという。 6月末、国立がん研究センターは「日本のがん罹患数・率の最新全国推計値」を公表した。全都道府県で「部位ごと」のがん発症率を調べた初めての調査だ。
 
 調査対象の2012年にがんと診断されたのは男性50万3970人、女性36万1268人。浮き彫りになったのは「地域格差」だ。

 同センターがん対策情報センターの松田智大・全国がん登録室長が言う。

「塩分摂取や喫煙、飲酒など生活習慣や環境の違い、がんの原因となるウイルス感染者の分布などが地域差を生むと考えられます」

 男性で最も患者数の多い胃がんは秋田、新潟、山形、石川など日本海側が目立つ。冬に大雪が降る地方は漬物、干物など塩分の多い食生活となることが発症率を高めると考えられる。

 大腸がんは北東北(秋田、青森)、近畿(京都、和歌山)、山陰(島根、鳥取)が目立ち、肺がんは和歌山、石川が高かった。肝がんは福岡、大阪、和歌山など西日本が多かった。肝炎ウイルス感染者の多さと関連すると考えられる。

 東京が突出して多かったのは乳がん。最下位の鹿児島の倍以上の発症率だ。

「乳がんは女性ホルモンにさらされる期間が長いほど発症リスクが高まるとされ、出産経験のない女性の増加や初産年齢が高まっていることが影響している可能性がある」(松田氏)

 注目すべきは、「発症率」と「死亡率」が逆転する地域がある点。たとえば男性の胃がん発症率は宮城、福島、福井が高いが、死亡率は低かった。一方で、茨城、栃木、大阪は、発症率は高くないが死亡率が高い。

「死亡率が下がった地域は医療機関同士の連携が進んでいる可能性があります。逆に死亡率が高い地域では、がん発見後のケアや患者の生活習慣が関連しているかもしれません」(松田氏)

 がんの予防に注力すべきか、地域の医療体制を見直すべきか。地域ごとに課題を見極める必要がある。

※SAPIO2016年9月号

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