ベストセラー『京都ぎらい』(井上章一著・朝日新書)に倣い、大特集した本誌前号(2016年8月19・26日号)の「名古屋ぎらい」。他県の住民にはどうしてもなじめない独自の文化や習慣を“愛を込めて”紹介したつもりだったが、残念ながら名古屋人の逆鱗に触れてしまったようで、本誌には読者から「お叱り」の電話が多数寄せられたほか、名古屋出身の芸能人や政治家からも反論が寄せられた。
こうした反論の一方で、「名古屋ぎらい」の読者からは「まだまだ嫌らしい部分はある」との声が数多く寄せられた。そこで、前号で紹介しきれなかった「名古屋人気質」を表わす一風変わった習慣を紹介する。
名古屋人には“イチャモン気質”があると指摘されるが、それが露わになるのがモノを買うときだ。『名古屋あるある』の共著者で自身も名古屋出身のライター・川合登志和氏がいう。
「名古屋人は、何かと理屈をつけて値切ります。ビジネスでも見積もりで値切り、納品で値切り、振り込みで値切る三段値切りで、オマケまで要求します。自動車を購入する際も3~4店の相見積もりは当然で、『隣のトヨペットはこの金額だぞ』と平気で言います」
その“節約”ぶりの実態を示すのが、名古屋の結婚式場は派手だが、式は意外と地味ということである。
「豪華な結婚式場があちこちに建っていますが、実際の結婚式の内容はお菓子を屋根からまく程度で、見た目は派手だが金はかからない」(同前)
名古屋の喫茶店は豪華なモーニングが有名だが、客は喫茶店でもらったつまみを家に持ち帰る。
「名古屋人は『あの店はもっと出とった』と平気で主張しますから、競争せざるを得ない。喫茶店の豪華さは気前の良さというより、イチャモンへの対応が生んだ副産物。その証拠に、袋入りのつまみは開けずに持ち帰って家で食べる」(同前)
自動車社会で「車は一人に一台」がモットーの名古屋人は、車内は土足厳禁とすることが多い。
「新車を買った瞬間から下取りのことを考えて、車内を汚さないよう土足禁止にします。運転時はスリッパを着用し、同乗者にも『靴を脱いで』と求める」(名古屋市在住の30代男性)
名古屋市内の中古車販売店では、セールスマンが「土禁車なので状態良好です」とアピールするのだという。
※週刊ポスト2016年9月2日号