世の中を見渡せば、小池百合子氏(64才)が初の女性東京都知事に就任、バリバリ働く女性も今や珍しくはなくなった。しかし! 足元に目を落とせば、家族のこと、夫のこと、仕事のこと…女性にばかり覆いかぶさる責任と役割に、怒りと悩みはつきない。だからこそ知りたい、これからどう生きていけばいいのか、そして「言ってはいけない」この社会の本当のこと。
この夏、50代以上の女性たちの間で大反響を呼んだ記事がある。漫画家・西原理恵子さん(51才)が毎日新聞で連載中の漫画『毎日かあさん』の「離婚ラッシュ」(7月4日掲載)と「独り立ち」(7月10日掲載)だ。50代と70代で離婚を決意する女性をそれぞれ描き、作品が紹介されたツイッターでも2万リツイート以上を記録している。
「女性は年頃になったら結婚し、家に入って子供を産むもの」という価値観が強固だった時代を生きた70代以上の女性たち。姑や夫の言うことは絶対で、「最後の嫁いびりを受けた世代」と西原さん。そんな女性たちが、自由に生きられるようになった今、「残りの人生で何をしたいか」を考え、逆算して行動した結果が「離婚」になるというのだ。
「私自身は、前回の東京五輪(1964年)の時に生まれた子供。道路も敷かれて西洋文明も入ってきてはいたけれど、まだ男は“愛の鞭”とか言って女子供を殴ってたし、殴られる奥さんも堪えて、それが偉いと賞賛された時代。姑は『私もされたんだから』と嫁をいびり倒し、それもひたすら耐え忍ぶ。がまんが美徳、自分ががまんして人を幸せにするという価値観だった。
でも今の70代以上のかたたちがその価値観はもう自分たちの代で終わりにしたいと、娘たちには姑でも旦那でもなく、まずは自分自身が幸せになることをいちばんに教えてきた。そのかいあって、私たち娘世代になって、やっと価値観がひっくり返りはじめてきたんです。今の姑さんはみんなやさしいし、男は女を殴っちゃダメだということが常識になったし、離婚はしてもいいってことになった。今は男の人だって、子供が熱を出したら会社を休める時代になりつつありますから」(西原さん、以下「」内同)
『100万回生きたねこ』の作者として知られる佐野洋子さん(享年72)は、生前、西原さんにこんな話をしていたという。
「70くらいになったらね、やっておけばよかった話で盛り上がるのよ。『40の時にお誘いいただいたんだけど、私、子供も夫もいるしやっぱり無理だと思ってたけど』『50の時にすごく素敵な恋をしていたんだけど、ちょっといけないわと思って』でも、みな、やっておけばよかったわって(笑い)」
これは冒頭の漫画ともリンクする。あと何年生きられるかを考えた時に、「何がしたいか」「何をしたかったか」はより具体的かつ迅速に行動に移される。つまり人生を逆算して生きるということ。西原さんがこう考えるに至ったのには、恋人である高須クリニックの高須克弥院長(71才)の言葉があった。