この10月、メガバンクをはじめとする各銀行がようやく重い腰を上げることとなった。窓口で保険商品を販売する際、保険会社から受け取る「販売手数料」を顧客に開示することになったのだ。ファイナンシャル・プランナーの横川由理氏がその意味を解説する。
「銀行は“顧客重視への転換”とアピールしていますが、実際は金融庁が銀行に対して情報開示を求めてきた結果です。これまでは顧客に手数料が開示されなかったため、銀行が保険会社から高額な手数料を取れる保険商品ばかりを顧客に勧める可能性が指摘されたのです」
契約者のニーズではなく“銀行のニーズ”で商品を買わされる懸念があったうえに、金額不明の手数料がちゃっかり商品に上乗せされていたということでもある。
庶民にとって最も触れる機会が多い手数料が「ATM利用手数料」だ。
こちらにも10月に大きな動きがある。ゆうちょ銀行が、これまで無料だった同銀行内のATM送金手数料を10月から有料化するのだ。月3回の利用までは無料だが、4回目からは1回の取引につき123円の手数料が徴収される。ゆうちょ銀をメーンバンクにする、都内で飲食業を営む40代男性は怒り心頭だ。
「野菜や肉など食材によって仕入れ先が異なるので、毎月の振り込みは20件近くになる。ゆうちょ銀行を使う取引業者が多かったため、これまでは手数料がかからなかったが、今後は月に2000円近く負担が増す。食材を1円単位で切り詰めているウチみたいな小さな店ではバカにならない」
※週刊ポスト2016年9月9日号