バリエーション豊かな日本の家庭料理。しかし、別の名前が付いているのによく似ていて、何がどう違うのかわからないという料理も多い。
たとえば、「ざるそば」と「もりそば」。一般的に、そばの上にのりがのっているのが「ざるそば」ともいわれているが、伝統食文化研究家で『蕎麦Web』編集長の片山虎之介さんによると、
「そばを器に入れて、熱い汁をかけたものが『かけそば』。それに対し、『もりそば』は、そばつゆや薬味を別盛りにして、ざるや皿、せいろなどの器にそばを盛っただけの料理の総称。その中で特に、ざるに盛ったものを『ざるそば』というんです」
とのことで、のりの有無は関係ないのだ。
そして、「とんかつ」と「カツレツ」の違いも難しい。とんかつは、厚切り肉などにパン粉などの衣をつけて、たっぷりの油で揚げた和食料理。一方のカツレツは、フランス料理の「コートレット」のことで、薄切り肉などに衣をつけ、少量の油をしいて焼く、または、揚げ焼きにしたものなのだ。
また、イタリア料理の「ミラノ風カツレツ(コトレッタ)」は、赤身の肉を叩いて薄く伸ばし、粒子の細かいパン粉をつけて揚げ焼きにしたもの。こちらは、カットせずに盛り付けられることが多く、レモンを絞って食べる料理だ。