シーズン前半戦、これほど熾烈なパ・リーグの首位攻防を誰が予想できただろうか。ダントツの優勝候補だったソフトバンクが、最大11.5あったゲーム差を引っくり返された。とくに、大谷翔平はソフトバンク戦に3試合登板し1勝0敗、防御率1.74。打者としても8月24日段階で19本塁打のうち半分近い9本をソフトバンクから打っている。一方で、この大接戦を演出したのは大谷の活躍だけでなく、球宴以降のソフトバンクの体たらくも大きい。
かつてソフトバンクでコーチを務めた野球評論家の杉本正氏は「打撃陣の不振」が低迷の最大の理由だと指摘する。
「昨季31本塁打を放ち、オフにメジャー移籍した李大浩の穴も埋められていない。前半戦こそ4番に内川(聖一)を据え、つなぎの野球で結果を出してきたが、球宴以降は打撃陣がまったく機能しなくなった。
不動の3番だった柳田(悠岐)を1番に据えるなど、湿り切った打線を奮起させるため手は打っているものの爆発には至っていない」
いま問題視されているのが工藤公康監督の「采配力」だ。
「監督1年目の昨季は強力な戦力のおかげで“采配ナシ”でも優勝できたが、今季は日ハムに猛追され始めてから無能ぶりを露呈した。打線は猫の目で安定せず、チグハグな送りバントやスクイズも多い。
成績低下とともにチーム内の雰囲気も悪化し、工藤監督は浮いて、まともに会話するのは自分が連れてきた飯田哲也・一軍外野守備走塁コーチくらい」(ソフトバンク担当記者)
撮影■山崎力夫
※週刊ポスト2016年9月9日号