日曜のお茶の間の代名詞である国民的アニメに“危険信号”が灯っている。フジテレビを代表する人気番組『サザエさん』の視聴率低下が止まらないのだ。
数年前まで毎週のように視聴率20%を記録していたが、今年に入ってからは視聴率が2桁を割る回が目立ち、7月には今年ワーストの7.7%を記録するなど苦戦が続く。フジにとって『サザエさん』は特別な役割を担っている番組ゆえ、社内では不安の声が挙がっている。フジテレビ中堅社員が嘆く。
「『笑点』から始まる、日曜日の日テレの強力な番組ラインアップは“黄金視聴習慣”とまで言われ、『ザ!鉄腕!DASH!!』、『世界の果てまでイッテQ!』、『行列のできる法律相談所』と軒並み高視聴率を許している状況です。
18時半の『サザエさん』でどれだけチャンネルをフジに合わせてもらえるかが、そのまま日曜夜の局全体の視聴率に響くんです」
そんな中、8月21日放送回で“異変”が起きた。ピアノを習い始めたサザエが、引き取り先のないグランドピアノを家で引き取ろうと奔走する話。エピソード自体はさして珍しくもないが、ピアノの先生役として登場した青年の「声」が思わぬ波紋を広げたのだ。
この声の主は、若手人気声優の代永翼氏(よながつばさ・32)。人気野球漫画が原作のアニメ『おおきく振りかぶって』(TBS系)の主人公役の声優として若い女性に大人気なのだという。
『サザエさん』に人気若手声優が出演することは珍しく、ツイッターでは〈突然、代永さんの声がして飛び起きた!〉と書き込まれ、本編の内容と関係ないところで『サザエさん』が注目されたのだ。
なぜ突如、若手声優が起用されたのか。
「局内で『サザエさん』は内容のマンネリ化が叫ばれており、スタッフの高齢化も問題視されていた。そのため、いまは若返りを進めている。キャスティング担当者も20代となり、若者に人気の声優を起用するアイデアを思いついたのでしょう。今後はメインキャストの声優交代など、より大胆な改革もあるかもしれません」
この改革が吉と出るか凶と出るか? 『サザエさん』がフジの命運を握っているのは間違いない。
※週刊ポスト2016年9月9日号