これまで本誌で2週連続で掲載した「名古屋ぎらい」特集は大反響。中には「名古屋から手痛いしっぺ返しを食らうぞ」という過激な抗議電話まであった。そうは言っても、調べれば調べるほど彼の地の文化は独特だ。中でもそれが顕著なのが“食”だが、独自の「名古屋めしルール」には、苦情もある。出張で名古屋を訪れていた神奈川県在住の30代男性が打ち明ける。
「名古屋の友人と食事に行った時、手羽先の食べ方がなっていないと怒られた。何でも子供の頃、酔っ払ったお父さんがお土産で買って帰る手羽先が大好きで、食べる順序や骨の外し方を英才教育されたとか。それだけに手羽先の食べ方にはこだわりがあるそうです」
ちなみに手羽先は関節を折り曲げて骨を出し、身をぐっと下に引けば肉だけをおいしくいただけるそう。こんな「不思議ルール」に戸惑う声も。
「お店でカレーを注文すると、スプーンが水の入ったコップに刺さって出てくる。理由はよくわかりませんが、とにかく驚きました」(都内在住の40代女性)
そもそも「名古屋ぎらい」のルーツは、タモリが1980年代に「名古屋の人はエビフライをエビフリャーと呼んで好んで食べる」などと揶揄したこととされる。当時、エビフライは名古屋名物でも何でもなく、「何いっとるんだが」と怒っていた。しかし現在、したたかな名古屋人は「負のイメージ」を逆に利用している。
「全国的に“名古屋はエビフリャー”というイメージが広がり、それに便乗して観光客相手に『名古屋名物・ジャンボエビフライ』を出す名古屋の店が増えたんです。おかげで『エビフライは名古屋名物じゃない』と言い切れなくなってきた。名古屋の人は口では怒っていても、商売になるなら何でもやるんです(苦笑)」(『名古屋あるある』の共著者の川合登志和氏)
※週刊ポスト2016年9月9日号