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歯磨き指導ない歯周病治療 「治す気がない」との問題提起

日本歯周病学会の専門医の吉川英樹氏

 歯科医選びほど難しいものはない。ニーズは患者によって大きく異なるし、必要のない歯を抜いてインプラント手術を行なう歯科医も存在するので“値段の高い自由診療だから質が高い”とも限らない。歯科業界関係者に聞いた悪徳歯医者を見抜くマニュアルをお届けする。

 歯周病は、歯を失う原因となるだけでなく、糖尿病や、心臓疾患等の原因となることが最近の研究で明らかになっている。だが、日本歯周病学会の専門医・吉川英樹氏(千葉市・吉川歯科医院)は、正しい治療を受けている患者は極めて少ないと証言する。

「歯周病の原因は、細菌性プラーク(歯垢)です。そのプラークを取れば治る。簡単なことなんです。

 しかし、他院で歯周病が治らないと言ってくる患者の8割は、プラークが取れていない。(歯科衛生士の)スケーリング(歯石除去)技術が未熟であるか、歯磨き指導をしっかりやっていないことが原因です」

 吉川氏によると、歯周病治療は、一回40分ほどの歯磨き指導を6回やらないと治らないという。

「まず、原因を丁寧に説明し、患者に理解してもらうことから始めます。そうしないと歯磨きの習慣がつかず、いつまでも治せません。

 そして、歯周病治療に絶対必要なのが、歯間ブラシとデンタルフロス。これらを使わないと、60%くらいしか磨けないからです。正しく使えるようになるには、合計6回はかかりますよ」

 例えば、歯周病治療に3ヶ月以上通っても全く改善しない場合、その理由を歯科医に尋ねてほしい。その際、これまで何例ほど、歯周病治療に成功したのか、確認してみるのも大切だ。

 吉川氏は、歯周病治療でも、マイクロスコープを使うメリットがあるという。

「肉眼では血液にしか見えない場合も、マイクロスコープを使うと、そこに膿が出ているのが見え、早期の治療が可能になります。

 歯科医の中には、マイクロスコープは必要じゃない、オーバースペックだという方がいますが、使った事がないのでしょう。歯科治療は20ミクロンの精度を要求されますが、100ミクロン(1mmの10分の1)より小さいと肉眼で見えません。見えない状態で治療して、うまくいくわけがありません」

●文/岩澤倫彦(ジャーナリスト)と本誌取材班

※週刊ポスト2016年9月9日号

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