ラグビーの釜石シーウェイブス(トップイーストリーグ1位)のフォワードとして活躍する伊藤剛臣(45)。かつては神戸製鋼コベルコスティーラーズで主力選手として活躍。一度は引退を表明したが、神戸製鋼時代に阪神大震災も経験した伊藤は東日本大震災を機に「ラグビーで釜石復興を支える」との思いから2012年にトライアウトを経て現役復帰し、釜石に入団した。
復帰後の伊藤の活躍は目覚ましく、ロック(FW)のレギュラーとして体を張り続け、その年のチームはトップイーストリーグ1部3位。翌年から3位、2位、2位と順位を上げ、今年が5年目のシーズンだ。
チームだけではない。伊藤のスキルもあがっている。ベンチプレスは過去最高の150kgを記録。オフ・ザ・ボール──ボールを持っていない時のプレースキルも格段にアップした、と本人は自負する。
「20年前の自分と勝負しても勝てる自信があります。足は遅くなりましたけどね(笑い)。いつまで続けるか? 実はまったく考えていません。というより、いつも『今日が最後かもしれない』と思っています。
怪我で再起不能になるかもしれない。そういう緊張感とプレッシャーの中で毎日やっています。で、終わると『今日は無事だった』とホッとして仲間と酒を飲む。この繰り返しです。試合ともなると、緊張で吐きそうになるけど、その緊張感がたまらないから、やめられない。ただのラグビー馬鹿ですね(笑い)」
伊藤が現役にこだわるのは、釜石復興と自分を重ね合わせているからだ。
「トップリーグへの昇格。そしてラグビーでの町の復興。こうした夢とロマンと目標が、自分を支えています」