8月中旬、北朝鮮の高麗航空機が平壌から中国北京に向かって飛行中、機内で煙が吹き出したため、同機は中国遼寧省瀋陽市の瀋陽国際空港に緊急着陸した。その原因は単なる電気配線の未整備による漏電であることが後に明らかになった。このため、中国側は高麗航空に「メンテナンス不足であり、このような状況が続けば、中国への乗り入れを禁止する」との異例の勧告を行っていたことが分かった。
実は、中国が友好国の北朝鮮の航空会社に飛行中止勧告を行うのは初めてではなく、安全基準を満たさない北朝鮮機に対して今後も厳しい対応を続ければ、高麗航空は実質的に倒産する可能性も浮上している。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
中国の航空当局が同機を調査したところ、電気配線の漏電が起こったのは客席の上にある手荷物収納棚の下に設置されている乗務員呼び出しボタン周辺で、中国側は「通常の航空機ならば、絶対にありえない事故であり、高麗航空のメンテナンス不足と、緊急時に対応するための訓練不足も、事態を一層悪化させた」などと断定。このような初歩的なミスが続けば、中国内の離着陸を禁止するとの異例の勧告を行った。
実は中国政府は2012年12月、中国内での航空機事故をゼロにするとの目標を立て、自国に離着陸する航空機の安全管理を大幅に強化する方針を決定した。
このような「危険な航空機」の対象になったのが、航空機衝突警報装置など、ICAO(国際民間航空機関)の安全基準に達しない北朝鮮唯一の航空会社である高麗航空。中国当局は高麗航空の航空機を調査し、同航空のツポレフ旅客機以外の航空機はすべて中国内への乗り入れを禁止する措置を発表した。
今回の事故を起こした航空機はツポレフ型旅客機だが、いかんせんツポレフは旧ソ連が1960年代に開発した旧型機であり、現在でも運用しているのは北朝鮮だけ。このため、航空機の部品も手に入らず、故障の修理もままならない状態だ。
高麗航空は世界の約600の航空会社を対象にした満足度調査で4年連続最下位となっていることから、ネット上では「事故が起きるのは時間の問題。高麗航空は全面的に乗り入れ禁止にすべきだ」との中国のネットユーザーの声が多数寄せられている。