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ザンギ、山賊焼き他 個性豊かな全国のご当地からあげ10選

北海道の「ザンギ」(提供/釧路食堂)

 夕食やお弁当のおかずに、酒の肴に……。愛すべき国民食・からあげ。「唐揚」が日本の書物に初めて登場したのは江戸時代とされる。当時は中国から伝来した、現在でいう厚揚げのような精進料理を示していた。

 現在のような鶏肉のからあげが登場したのは、肉食が一般的になった明治維新後。昭和7年頃に東京・銀座の「食堂三笠」(現・三笠会館)でからあげが初めて売り出され大ブレークした。

 昭和30~40年代の高度成長期に入るとからあげも大衆化。2009年に日本唐揚協会主催「からあげグランプリ」が始まるやB級グルメ人気も手伝い、ブームが到来する。各地で育まれてきた”ご当地からあげ”が注目され、近年では岐阜県関市「関からあげ」や千葉県印西市「印西みそピーから揚げ」など、新顔も誕生している。

「日本には個性豊かなからあげ文化があります。名前の由来や食文化の違いを知るのも、ご当地からあげの醍醐味。各地の専門店で是非、自慢の郷土料理を味わってみてください」(『日本唐揚協会』専務理事・八木宏一郎氏)

 以下、全国にあるご当地からあげの例をいくつか紹介しよう(監修・日本唐揚協会)。

【北海道】ザンギ
 道内ではからあげをこう呼ぶ。味付けは濃いめが多い。昭和30年代、釧路が発祥とされる。

【新潟】半羽揚げ
 縦半分に割いた骨付きの若鶏に衣をつけて揚げる。新潟市、三条市が中心。カレー味が主流で、元祖は新潟市の「せきとり」

【千葉】印西みそピーから揚げ
 2010年「いんざい“ご当地ぐるめ”選手権」優勝。地元定番のみそ×ピーナッツ×砂糖のコクのある甘辛の“みそピー”を絡める。

【長野】山賊焼
 にんにく醤油だれに鶏肉を丸ごと漬け込み、豪快に揚げる。考案した塩尻市の店の店主が山賊のような出で立ちだったことが由来。

【岐阜】関からあげ
 2009年に誕生した新興のからあげ。ひじきや椎茸を使った黒い衣から「黒からあげ」とも呼ばれる。

【愛知】手羽先からあげ
 おなじみ名古屋名物。パリッと揚げた手羽先に甘辛いタレをかけ、スパイスやゴマをふる。

【奈良】竜田揚げ
 片栗粉をまぶして揚げたからあげの色味を斑鳩の紅葉の名所・竜田川に見立て名付けられた。

【愛媛】せんざんき
 からあげの原点ともいわれる「せんざんき」。東部を中心に食される骨付き鶏のからあげ。

【大分】宇佐/中津からあげ
 からあげ専門店発祥は宇佐市、聖地と呼ばれるのは中津市。タレに鶏肉を漬け込むスタイルで醤油と塩の2系統がある。

【宮崎】チキン南蛮
 からあげを甘酢に浸しタルタルソースをかけた名物料理。元祖は甘酢のみとの説も。地元は「むね派」と「もも派」に二分されるとか。

※週刊ポスト2016年9月9日号

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