企業で要職に就く者も多い50歳前後の世代と、今の若者の間には価値観や感覚に埋めがたい溝がある。前者は「バブル入社組」と呼ばれることもある。自身もその世代であるコラムニストの石原壮一郎氏は、バブル期に放送されたトレンディドラマが彼らに大きな影響を与えたという。
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人間、若いころの「刷り込み」から逃れるのは容易ではありません。30年ほど前の「バブル時代」は、今の50代前後の人格形成に多大な影響を与えています。
いわゆる「バブル組」への風当たりは、昨今、ますます強くなってきました。気が付けばどうにもならない状態になっているという意味を込めて、「ゆでガエル世代」なんて悲しい言われ方もしています。
ああ、なんでこうなったのか。たしかに、若い世代との感覚の違いを覚えることは、ままあります。20代で貯金に精を出したり、将来のイメージがチンケだったり、恋愛に興味が薄かったり、いざデートするにしても安居酒屋で平気だし、しかも割り勘……。
いい若いモンが、そんなことでいいのか! 何が楽しいのか! なんて言ったら、また「バブル組はこれだから」と呆れられてしまうんでしょうね。
今の50代をこんな風にしたのは、たぶん、いや間違いなく一連のトレンディドラマです。W浅野の『抱きしめたい!』(1988年)や中山美穂の『君の瞳に恋してる!』(1989年)、鈴木保奈美の『東京ラブストーリー』(1991年)などなど、どのドラマもオシャレな男女が、華やかな生活を送りつつ、狭い人間関係の中で惚れたはれたを繰り返す物語でした。ドラマを熱心に見ていなくても、世の中の空気を通じて、間接的な影響は受けているはず。