プロ野球のクライマックスシリーズが1か月後に迫るなか、下位に沈んだチームのファンの鬱憤は溜まりに溜まっている。
「ホンマに打てへんなぁ」
中日相手に完封負けを喫した8月31日、大阪市内某所の居酒屋では、虎ファンたちが哀愁漂う反省会中だ。批判の矛先は、“超変革”を掲げた就任1年目のアニキこと金本知憲監督に向かう。50代虎ファンが酎ハイ片手につぶやく。
「やっぱり監督は生え抜きやないとアカンわ。若手を育てとるのか知らんけど、甲子園で負けてばっかりやったらファンは盛り上がれへん。外様にはそのへんが分からんのや。もう来年は二軍から掛布(雅之)さんに昇格してもうたらエエんちゃうか。勝てる監督なら岡田(彰布)やろうけど、前に1回やっとるしな」
なぜか掛布だけは「さん」付けの男性の意見に対し、隣の席に座っていた60代ファンは色をなして反論する。
「そりゃ理想論や。生え抜きで優勝したんは吉田(義男)はんと岡田だけ。阪神を変えてきたのは野村克也と星野仙一。外様監督やないか。生え抜きは文句を言わんから、フロントが使いやすいだけや」
横からは別のファンが「そうや。そんなに生え抜きいうんやったら川藤(幸三)でエエやないか。ヤジでベンチは賑やかになるで」と口を挟む。
ファンの議論の的は、早くもストーブリーグに移っている。熱烈な阪神ファンで知られるタレントのダンカン氏は金本擁護派だ。
「1年目で勝つのは厳しいでしょう。若手をどんどん使うのもいいと思う。
ただ、負けた試合の後に、若手を叱るコメントをするのはどうなんか。若い選手がヘタなのは当たり前でしょう。監督は選手ではなくコーチに対して“きちんと教えてやれ”と叱るべき。金本監督は、コーチに遠慮がありすぎましたね。もちろん続投。でなければ今年1年はなんだったのかということになる」
※週刊ポスト2016年9月16・23日号