山口組分裂から早1年、当事者たちはこの事態をどうとらえているのか。そこで今回、暴力団取材のエキスパートであるライター・鈴木智彦氏が、現役ヤクザ100人に対する大規模アンケートを実施した。アンケートは100人すべてに直接電話して回答をもらった。アンケート結果を紹介しよう。
Q:山口組の分裂抗争はしばらく続くと思いますか?
はい…85人
いいえ…7人
どちらともいえない…7人
ノーコメント…1人
回答が「はい」に偏るかもしれないと予想してはいたが、85%という圧倒的大多数だった。なにしろ山口組の分裂抗争は初めてのことばかりで、前例を当てはめにくい。
「善悪で考える次元の話ではない。簡単に収拾が付くとは思えない。少し前、和解話があったのが信じられない」(九州の独立団体幹部)
和解話とは、六代目山口組の司忍組長を総裁にし、神戸山口組の井上邦雄組長を七代目組長にする、もしくは井上組長を若頭にするといった和解案の交渉が決裂したというもので、双方の言い分が食い違っている。
この問いについては「どちらともいえない」と答えたヤクザたちが正直なのだろう。それぞれ「先行きが見えない」(広域組織幹部)、「自分たちにはなんのアナウンスもないのでなんともいいにくい。毎週ヤクザ記事を載っけてる週刊誌だけは事務所で読むようにしてる」(六代目山口組組員)と戸惑いが感じられる。
早急に抗争が終わるという予想は、「お互いが核兵器を装填しているようなもの。チキンレースを続けたら共倒れになって自滅するだけ」という現実論に基づいている。唯一、ノーコメントだったのは代紋頭と呼ばれる指定暴力団のトップで、「立場上、自分がそれをいうわけにはいかない」と頑なだった。結果は口外しないという約束を信じてもらえなかったのかもしれない。
※週刊ポスト2016年9月16・23日号