人間と同様、ペットの肥満も問題になっている。ある飼い主さんからこんな悩みが寄せられた。
「7才のパグを飼っています。健康診断で肥満の診断を受けたので、ダイエットを始めることに。ところが、エサを減らすと、足りなくて吠えるし、散歩でも歩かずにすぐ抱っこを要求してきます。犬のダイエットはどうやったらいいのですか?」(大分県・のりこ・55才・主婦)
この悩みに、白金高輪動物病院総院長で『動物たちのお医者さん』(小学館ジュニア文庫)の構成ほか、著書も多数持つ佐藤貴紀さんがアドバイスをする。
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犬の肥満診断の基準は諸説ありますが、体重というよりは、横から見てお腹が出ていたり、上から見て腰のくびれがなかったら、肥満といえます(環境省「犬のボディコンディションスコア」参照)。
原因は、人間同様、摂取カロリーが多すぎることと消費カロリーが少ないこと、その他、不妊手術や加齢、体質変化、病気など、複数の要素が絡み合っています。
原因はどうあれ、肥満になると、心臓疾患をはじめ、循環器障害、皮膚疾患、糖尿病などさまざまな病気を誘発するため、ダイエットが必要になります。
犬は、同じ犬種でも体重の個体差が大きく、また、年齢や性別でも適正体重が変化するので、飼い主はまず、その子に応じた適正体重を知ることが大切です。
◆2回の食事を3回にし1回分の量を減らそう!
愛犬のダイエットで最も有効なのが、食事コントロールです。犬は本能的に、目の前にエサがあればあるだけ食べてしまうので、太りやすいのです。特に運動量が少ない犬は、食事の量を減らして調整することが大切です。とはいえ、急に減らすと、のりこさんのお宅のように、不満を感じるでしょうから、1日2回の食事を3回に増やし、1回分の量を減らしてみてください。食事の回数が増えても、1日のトータル量が減れば、ダイエットになります。
また、食事の内容も、高たんぱく&高繊維質のダイエットフードに変えましょう。おやつは太りやすいので与えず、人間の食べ物もNGです。
◆ドッグフード袋記載の量を過信しないこと
ところで、ご自分のワンちゃんの1食あたりの正しいドッグフード量をご存じですか? 意外と知らない飼い主さんが多く、適当に与えていたところ、その量が多く、肥満になるケースが多いんです。
特に、肥満と診断された犬の場合、ドッグフードの袋の記載を鵜呑みにしてはいけません! メーカーが推奨する1回分のエサの量は一般的な適正体重をもとに算出されているので、太りぎみの犬にこの量を与えると、肥満を助長することになります。ダイエット用の正しいエサの分量がわからない場合は、動物病院で1日に必要な摂取カロリーを計算してもらいましょう。
※女性セブン2016年9月15日号