日本企業の内部留保は拡大の一途であり、日本経済停滞の一因とも指摘される。時価総額上位100社の内部留保を調べてみると、1位トヨタ自動車(16兆7942億4000万円)、2位三菱UFJフィナンシャル・グループ(8兆5875億7800万円)、3位ホンダ(6兆1943億1100万円)、4位NTT(5兆742億3400万円)、5位三井住友フィナンシャルグループ(4兆5344億7200万円)と続く。
「内部留保増と年収増の乖離が大きいTOP10」を本誌は調査。これについては、それぞれ前年度と比較した、社員1人あたりの内部留保の増加額と、平均年間給与の増加額の差額で順位付けした。
1位のオリエンタルランドは1人あたりの内部留保が前年比で約1300万円増えたが、逆に平均給与は約16万円減少した。
「沖縄にテーマパークを開設しようとしたUSJとの攻防もあって内部留保を貯めたのでしょう。それでも社員への還元は少ないように見える」(金融ジャーナリスト・森岡秀樹氏)
オリエンタルランド広報部はこう説明した。
「利益余剰金を用いて、2020年まで新アトラクションなどに年間500億円規模の投資をする予定です。契約社員を正社員にするなど人材への投資も進めています」
同様に、このランキングで3位に入った東海旅客鉄道(JR東海)の広報部が説明する。
「今後も東海道新幹線の設備維持やリニア開発などに資金を投下していく予定です。賃金も3年連続でベアを実施しています」
このように、事業への投資の予定を理由に内部留保の増加を説明する企業は他にも多く見られた。
※週刊ポスト2016年9月16・23日号