J-REIT(不動産投資信託。以下、Jリート)市場の好調が続いている。その背景にあるものは何か、アイビー総研代表の関大介氏が解説する。
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日銀のマイナス金利政策などを追い風に、Jリート市場が依然として好調だ。Jリートは債券より高い利回りという魅力に加え、金利低下によって借入金の支払利息が減り、分配金増額期待も高まっている。ただし、市場には過熱感も出ており、2016年後半は特に外国人投資家の売買動向に注意を払う必要がある。
というのも、外国人投資家は今年1~6月までの上半期だけで総額2239億円(月平均373億円)と、異常なほど大幅な買い越しをしている。この外国人投資家の月平均買い越し額は、東証REIT指数が最高値を記録した2007年を超える金額だ。
外国人投資家がこれほどJリートを買ってきたのは、為替相場が円高に進んだことが大きな要因として考えられる。
普通なら金融緩和で円安に進むところだが、2016年1月の日銀のマイナス金利政策導入後、円安にはならなかった。円高に進む方向にあるときに外国人投資家がJリートを買うのは、彼らにとってプラスになる。投資元本に為替差損が生じる円安にさえ振れなければ、為替差益も期待できるため、円高進行はJリートを買える材料になるのだ。Jリートの運用自体も好調なため、投資マネーが流れ込みやすい環境となっている。
ただ、8月現在、1米ドル=100円近辺にまで円高ドル安が進行しており、ここからさらに大幅な円高進行を望めるかというと難しいだろう。したがって、外国人投資家がこれからも今年前半のようにJリートを大幅に買ってくるとは考えにくい。むしろ、今年後半は外国人投資家が利益確定に動く可能性が高いのではないか。
※マネーポスト2016年秋号