時代の転換点には共通点が?
時代の転換点には、共通点がある。そう考えると、1989年と2016年はよく似ている。
1989年、「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助、「昭和の歌姫」美空ひばり、「漫画の神様」手塚治虫が相次いで世を去り、一時代の終りを印象付けたが、今年は経済界では「流通の神様」の鈴木敏文セブン&アイHD会長が辞任し、芸能界では平成を代表するアイドルグループSMAPの解散が発表された。
そして世界でも、1989年は東西ドイツ国民がベルリンの壁をぶち壊し、冷戦終結が本格化した年であり、今年は英国が冷戦終結で生まれたEU(欧州連合)からの離脱を決め、世界は再び混沌としている。
では、昭和の終わりで日本社会はどう変化し、平成の終わりによってどこへ向かおうとしているのだろうか。
1989年は、日経平均が史上最高値(3万8957円)をつけたバブル絶頂期だった。シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト、田代秀敏氏はそれが現在のアベノミクス景気とシンクロしていると指摘する。
「わかりやすいのはマンション価格です。マンション価格は1989~1990年にピークを迎え、その後のバブル崩壊で暴落しました。一方、現在もアベノミクスの影響でマンション価格が上昇している局面ですが、反落の気配が漂い始めている。
象徴的なのは日経新聞がアベノミクスに批判的な論調に転じたこと。8月29日付の『4社に1社 公的マネー、筆頭株主』という記事は、日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)とを合わせた公的マネーが東証一部企業の4社に1社で筆頭株主になっていると報じている。裏返せば民間のマネーが日本株に見切りをつけ始めていることの証左であり、アベノミクスの蹉跌を示しています」
田代氏は、続けてこう指摘する。