台風被害がニュースになることが多いこの季節。特に農家にしてみれば、気が気でないだろう。茨城県に住む農家の女性Gさん(70才)もそのひとり。しかし、Gさんが心配なのは、農作物ばかりではなく、夫なのだという。
* * *
台風が来るとわかると、うちみたいな農家は大変。昼間のうちから、いろんな物が飛ばされないように、縛ったり、納屋に取り込んだり。ビニールハウスだの、畑だの、それこそ昼ご飯は立って食べるくらい忙しい。
ところがうちの夫(75才)ときたら、まず手伝わない。茶の間に横になって、「そんなに騒いで、台風が来なかったらどうするんだ」と、そればっかりよ。
そのくせ、いよいよ強風が吹き始めると、むっくり起き上がって、「田んぼを見て来るわ」と合羽を着て外に出て行こうとする。
見ていれば必死で止めるけど、この前は夜中に黙って出て行ってしまったんです。案の定、家の敷地を出る前にすべって転んで、「おーい、おーい」。
台風の夜に高齢者が外出して亡くなるニュースがあるけど、いつうちの夫もそうなるか…。
※女性セブン2016年9月22日号