芸能

笑福亭鶴瓶が上岡龍太郎と松嶋菜々子から受けた影響

俳優としても活躍する笑福亭鶴瓶

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。現在公開中の映画『後妻業の女』にも出演中の笑福亭鶴瓶の言葉から、落語と映画・ドラマ、バラエティ番組とあわせて三足の草鞋を履く意味をお届けする。

 * * *
 笑福亭鶴瓶は2002年から落語に本格的に乗り出す。それに呼応するかのように役者としての映画・ドラマの出演も増え、バラエティ番組と併せて「三足の草鞋」状態になっている。

「芝居が先で落語をやりましたから、芝居の形で落語をやっています。例えばこの前、『レッドクロス』というドラマに出たんですが、松嶋菜々子さんが泣く場面で何べんでも泣けるんですよ。『どうやったらそない毎回泣けるの』って聞いたら『鼻にツーンと来るポイントを変えてる』と。『一つのセリフで同じポイントでは何度も泣けないから、そのセリフで泣けるポイントを変えるんです』って言われたんです。

 その時、一つの言葉にもいくつも違う涙のポイントがあると教えてもらいました。

 あの頃、僕は落語で人情噺をやっていまして、それを参考にしました。普通の噺家は途中から新しい解釈を付け加えるということはなかなかできません。ちゃんと出来上がったら、それを練り上げていくわけです。でも、僕は途中からなんぼでも変えられる。新しく後で付け加えたりもできる。そうやって菜々子さんが言うてくれはったことから盗めることもあるんですよね。

 だから、二足も三足も草鞋を履くって凄く大事だなと思います。昔は『落語家がそんなにテレビに出て』とか言われてましたが、(古今亭)志ん朝師匠はバラエティをやり芝居をやり、それでずっと落語もやってきました。その志ん朝師匠の落語が物凄くいいんですよ。あの人が一番やと思ってますから、目指すところでもあります」

 近年の鶴瓶は『ディア・ドクター』といった主演作から、吉永小百合ら大女優たちの相手役まで、幅広い立ち位置で活躍する。

関連記事

トピックス

清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
引退すると言っていたのに誰も真面目にとりあっていなかった(写真提供/イメージマート)
数十年続けたヤクザが引退宣言 知人は「おめでとうございます」家族からは「大丈夫なのか」「それでどうやって生きていくんだ」
NEWSポストセブン
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン
アーティスト活動を本格的にスタートした萌名さん
「二度とやらないと思っていた」河北彩伽が語った“引退の真相”と復帰後に見つけた“本当に成し遂げたい夢”
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、小泉家について綴ります
《華麗なる小泉家》弟・進次郎氏はコメ劇場でワイドショーの主役、兄・孝太郎はテレビに出ずっぱり やっぱり「数字を持っている」プラチナファミリー
女性セブン
調子が上向く渋野日向子(時事通信フォト)
《渋野日向子が全米女子7位の快挙》悔し涙に見えた“完全復活への兆し” シブコは「メジャーだけ強い」のではなく「メジャーを獲ることに集中している」
週刊ポスト
1966年はビートルズの初来日、ウルトラマンの放送開始などが話題を呼んだ(時事通信フォト)
《2026年に“令和の丙午”来たる》「義母から『これだから“丙午生まれの女”は』と…」迷信に翻弄された“昭和の丙午生まれ”女性のリアルな60年
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト